研究課題
Valosin-containing protein (VCP)転写調節機構についての検討を行い、PBX/TALE群がVCP転写因子であることを示した。PBX/TALE群転写因子の機能を詳しく検討した結果、Meis1 siRNAによるMeis1発現低下によりミトコンドリア遺伝子の発現が低下したが、PBX1, PBX2, Prep1に対するsiRNAでは低下しなかった。ミトコンドリア遺伝子発現パターンの検討過程で、ミトコンドリアDNA/RNA合成に関与するとされるD-loopについて検討を行い、D-loop領域に存在する短鎖DNA (7SDNA)とその相補的なRNA (いわゆるR-loop) に着目して検討を行った。マウス線維芽細胞NIH3T3をウシ胎児血清存在下と無血清で培養し、In situ hybridizationにより発現量を検討した。その結果、7SDNAとR-loopは無血清培養と10%清培養では、発現パターンが変化し、後者では核に近接する、あるいは核内に存在しているようにみえた。培養細胞の核内と細胞質内からDNAを抽出し、PCR法にて検討を試みた結果、この局在は、核内ではなく、核膜に付着する形であることが明らかとなった。VCPのco-factorであるubuquitin like 4A (UBL4A)についての検討を行った。UBL4Aは細胞質においては、VCPのco-factorであり、ユビキチン化された蛋白の分解などに関与すると考えられている。UBL4Aが核内でsignal transducer and activator of transcription3 (STAT3)の脱リン酸化に働き、細胞増殖抑制に関与することを明らかにした。UBL4Aはこれまで細胞質内極在タンパク質とされていたが、我々は核内と細胞質内を行き来するタンパク質であることを明らかにした。
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