研究課題
免疫疾患関連転写因子ZFAT(zinc-finger gene in AITD susceptibility region / zinc-finger with AT-hook)の免疫担当細胞における機能的役割の解明とその機能発現のための分子機序の解明を目指して、T細胞特異的にZFATを欠失したコンディショナルZFAT欠損マウスの胸腺内T細胞分化を中心にZFATの機能解析を進め、以下のような研究成果を得た。T細胞特異的コンディショナルZFAT欠損マウス(LckCre-Zfatf/f mice)を樹立・解析した結果、胸腺内CD4+CD8+ double positive細胞数、CD4+ single positive細胞数およびCD8+ single positive 細胞数が著しく減少し、ポジティブセレクションの阻害が示された。LckCre-Zfatf/f miceとT cell antigen receptor (TCR)トランスジェニックマウスとの交配によって、ポジティブセレクションの阻害は回復されることはなかった。さらに、その詳細な分子メカニズムの解析の結果、LckCre-Zfatf/f miceでは、TCRからの刺激応答におけるCD3ζのリン酸化の阻害を伴う、セレクションのためのシグナリングにおいてERKおよびEgrの活性化の減弱が示された。ZFATがTCRからの適切な初期シグナリングにおける制御とERKおよびEgrの活性化を介したポジティブセレクションに必須であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
ZFATが胸腺内T細胞分化に重要な遺伝子であることを明らかにし、CD4+CD8+ double positive細胞数、CD4+ single positive細胞数およびCD8+ single positive 細胞数の減少等における更なるZFATの分子機序の解明に向けて研究が進んでいる。
ZFATの生物学的機能ネットワークの解明を目指して、一次リンパ組織である胸腺T細胞を中心に、ZFATの機能解析とさらなる分子機序の解明を引き続き進めながら、ZFAT転写制御遺伝子の同定を試みる。表現型解析および発現変動遺伝子群から推察されるZFATの機能が、どのような標的遺伝子を転写制御することにより、もたらされている現象であるのかの解明を試み、研究を遂行する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One.
巻: 8 ページ: e76254
10.1371/journal.pone.0076254. eCollection 2013.