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2013 年度 実施状況報告書

IgE産生を制御するMARCH Iの解析

研究課題

研究課題/領域番号 24590466
研究機関岐阜医療科学大学

研究代表者

星野 真理 (大村 真理)  岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (10313511)

キーワードIgE
研究概要

E3ユビキチンリガーゼ、MARCH Iは、抗原提示関連分子、MHCクラスII, B7-2をユビキチン化することにより制御している。このMARCH I欠損マウスでは免疫開始に必要な樹状細胞の機能低下、およびアポトーシスによる樹状細胞数の減少が誘導されることが、これまでに明らかになっている。さらに、このように免疫機能の恒常性に必要なMARCH Iを欠損することによりアレルギー反応に重要なIgE産生性も著しく低下するという予備実験データを得ているが、MARCH Iのこの新たな免疫制御のシステムおよびそのメカニズムについて明らかにすることが本研究の目的である。
昨年度は、これまで未だ未報告の、MARCH I欠損マウスにおける免疫反応について解析を行った。MARCH I欠損マウスに腹腔内免疫を行ったところ、抗原特異的なIgG, IgGサブクラスおよびIgMの反応はコントロール群と比較して低く、特に抗原特異的なIgE反応が著しく減少していた。また、T細胞の増殖反応やTh1とTh2サイトカインの産生といった抗原特異的なT細胞反応もMARCH I欠損マウスでは低下していた。
MARCH I欠損マウスにおける免疫反応低下のメカニズムはこれからの課題であるが、この結果はMARCH Iが易感染性に関与する可能性を示唆している。更にMARCHIの制御によってIgEを制御することによりアレルギー反応を操作・抑制できる可能性を秘めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

初年度にMARCH Iが臨床病態に影響を及ぼしているかという重要課題の検討を 臨床的に寄生虫感染マウスモデルを用いて行ったので、次年度からはMARCH Iによって影響を受け得る免疫反応の解析ということでMARCH I欠損マウスに引き起こされる免疫反応の変化についての基礎データを得た。実際の実験は、(4)今後の研究推進方策等に詳細を記載したようにほとんど研究ができない、エフォートほぼゼロの環境・状況にあったため、これまでに積み重ねてきた数多くの未処理データの解析に時間を費やした。

今後の研究の推進方策

IgE産生低下のメカニズムの検討として、まず、IgE産生に重要な経路であるTh2経路における異常があるか? の検討を行なう。結果として(1)Th2反応のみが下がる場合と(2)全体の反応が下がるためにTh2反応も下がる場合がある。(1)の場合、なぜTh2反応のみがさがるのか、Th反応を起こす樹状細胞にTh2をさげる要因(ex.Th1反応を起こすサイトカインの量の増加)があるか、T細胞自身のTh2への向かいやすさがあるかをそれぞれの細胞を単離し、細胞を培養してサイトカイン産生量を測定する。(2)の場合、免疫を起こす樹状細胞、T細胞、B細胞のいずれの細胞の異常かを同定する。
また、どの細胞のMARCH Iが欠損していることによりIgE産生性が低下するのか?についての検討を行なうために、MARCH IコンディショナルKOマウス-CD11c creの作製を行なう。つまり、現在使用しているMARCH I KOマウスはコンベンショナルKOマウスであるため、すべての細胞でMARCH Iが欠損している。そのため、どの細胞のMARCH Iが欠損していることが原因でIgE産生性が低下しているか不明である。そこで、MARCH IコンディショナルKOマウスを用いることによりMARCH Iの発現が高く、MARCH Iの異常が見られている樹状細胞でMARCH Iを特異的に欠損させ、それが原因でIgE産生が低下するか、また、そのメカニズムを明らかにする。その際に使用する、樹状細胞で特異的に欠損できるCD11c-creマウスを用いて、実験に使用するMARCH IコンディショナルKOマウス-CD11c-creの作製のための掛け合わせを始める。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は新たに教育機関への転入をした初年度のため、以下のような教育業務・大学運営業務のため、科研費研究課題に該当する研究はほぼエフォートゼロの状況だった。また、科研費研究課題遂行に必要なマウス舎、RI実験施設、実験に必要な放射線照射装置、冷却遠心機、フローサイトメトリ―などの研究用実験機器が全くなく、それら実験設備・機器を有する他機関へ共同研究の依頼をし、研究に必要な設備を使用できる手配を行っている。さらに、必要な遺伝子改変マウスも理研からの転出の際に処分を余儀なくされ、新しい研究機関での胚からの立ち上げになり、実験できる数の遺伝子改変マウスの繁殖にはかなりの時間を要すると思われる。
教育業務・大学業務:講義 154時間、実習 222時間、卒論指導 195時間、実習・定期試験監督 28時間、入試試験監督3日間、学内模試作成 8回、学校行事 18日
まず、研究環境の立ち上げを行う。研究に必要な遺伝子改変マウスを確保するために、その遺伝子改変マウスを所有している機関(理研)に胚分与を依頼し、外部委託業者にて起こしたのち、マウスの繁殖をお願いしている共同研究機関にて繁殖を行う。また、交配により研究に必要な種類の遺伝子改変マウスの作製を行っていく。研究できるレベルまで繁殖・維持の後に今後の研究の推進方策に従って、実験を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 樹状細胞の生存維持とMHCクラスIIのユビキチン化2013

    • 著者名/発表者名
      星野 真理
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 59(4) ページ: 491-9

  • [学会発表] Systemic immune responses in MARCH-I-deficient mice.2013

    • 著者名/発表者名
      M. Ohmura-Hoshino, S. Ishido
    • 学会等名
      第42回日本免疫学会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      20131211-20131213

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公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-06-16  

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