研究課題/領域番号 |
24590474
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
右田 敏郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (20462236)
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キーワード | 前立腺がん / ステロイド代謝 / 去勢抵抗性前立腺がん |
研究概要 |
臨床の前立腺がんではホルモン治療により、大部分のがん細胞にアポトーシスが誘導されるが、生き残った細胞はいずれ再び増殖を始める。最近の報告では、アンドロゲン除去後においても腫瘍内のアンドロゲン濃度は維持されている事やアンドロゲンレセプター (AR) も活性化されているとされ、アンドロゲン非依存性増殖の重要なメカニズムの一つとして注目されている。精巣や副腎などの外来性アンドロゲンに依存しない、内因性のアンドロゲン合成機構の存在が示唆されている。 我々は脂質代謝酵素であるACSL3がアンドロゲン応答性があり、ヒト前立腺がん細胞株、およびヒト前立腺がん組織において高発現していることを確認した。ACSL3を過剰発現させると、いくつかのステロイド合成に関わる酵素の発現が上昇し、逆にACSL3の発現を抑制するとこれらのステロイド合成酵素の発現が低下することを確認した。前立腺がんにおいてACSL3が内因性ステロイド合成を制御している可能性があり、その分子レベルでのメカニズムを解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞株においてACSL3がステロイド合成酵素の発現に影響を与えることが明らかになり、その具体的な分子が判明した。
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今後の研究の推進方策 |
ACSL3もしくはその代謝産物であるAcyl-CoAが何らかの共通の転写因子の発現や活性に影響を及ぼしている可能性があり、現在のその転写因子の同定を行っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞実験の結果が予想どうりの結果であり、想定していた実験を行う必要がなくなった。よって、関連する実験の物品費を抑制することが出来た。 実験結果の普遍性を高めるため、細胞株の種類を増やし、ノックダウンや過剰発現の実験を行う。
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