研究課題/領域番号 |
24590478
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
百田 洋之 東京大学, 医科学研究所, 講師 (60469971)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / マウスモデル / 前臨床試験 / 髄芽腫 / 神経膠腫 / 生体イメージング |
研究実績の概要 |
tv-a受容体を脳細胞に発現した遺伝子改変マウス(Gtv-a、Gtv-ap53-/-)と、癌遺伝子を組込んだレトロウイルスベクター(RCAS-c-Myc、RCAS-PDGFB等)を用いて(RCAS/tv-aシステム)、マウスの脳に髄芽腫と悪性神経膠腫を発生させることができるようになった。発生した脳腫瘍やマウス脳細胞の初代培養細胞を用いて、ガングリオシドGD3が脳腫瘍発生に関わることを解明した(論文投稿中)。また、RFPやGFP、luciferaseを付加したRCASベクターを作成することで、癌遺伝子を遺伝子導入した腫瘍細胞が標識可能となり、腫瘍細胞を蛍光または発光イメージングにてモニターできるようになった(論文作成中)。一方で、新たに作成した3種類のc-Myc蛋白のアイソフォームの塩基配列が間違っていたため、新たにコンストラクトを作成し直した。薬剤投与実験については、生体イメージング可能な脳腫瘍マウスモデルを用い、テモゾロミド他数種類の抗癌薬を試験的に投与し、腫瘍の発光減弱を確認した。最終的な研究目標である脳腫瘍マウスモデルを用いた薬剤投与試験に向け、マウスモデルと腫瘍のモニタリングシステムが整いつつある。本脳腫瘍マウスモデルは、国内では研究者がほぼ独占的に使用・開発しているものであり、脳腫瘍発生機構の解明から薬剤効果の判定まで幅広い用途に応用できるシステムの構築に寄与できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作成したc-Myc蛋白のアイソフォームの塩基配列が間違っていることが判明し、遺伝子導入ベクターを作成し直した。また、研究者の異動に伴い、研究の中断を余儀なくされたため、研究にやや遅れが生じた。研究者は2015年1月に名古屋大学医学部から東京大学医科学研究所へ異動したが、これに伴い、遺伝子改変マウスを用いた実験の申請(組換えDNA実験機関承認、大臣確認)を再提出する必要があり、実験の許可が得られるまで数ヶ月間の研究中断を要する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策: 異動先の東京大学医科学研究所で実験を継続できるよう、機関承認や大臣確認の申請作業を進め、新たな研究室での実験環境を整備する。また、3種類のc-Myc蛋白のアイソフォームを組込んだRCASベクターが完成したので、研究体制が整い次第、c-Myc導入による腫瘍発生機構の違いを調べ直す。さらに、種々の脳腫瘍に対する有効な薬剤を見つけるため、培養細胞やマウスを用いて薬剤のスクリーニングを行う。新たなマウスモデルを開発するため、新たな癌遺伝子の導入や、新たな遺伝子改変マウスの作成にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終的な年度末の物品購入額が予算と合わずに1円余った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はできるだけ1円単位で収支を合わせるよう予算を使用する。
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