研究課題
基盤研究(C)
1. PKCλ KO GS 細胞の作製PKCλ 遺伝子の欠損時にどのような遺伝子発現変化が起こるかを検証するために、PKCλ KO GS細胞の樹立を試みた。PKCλ flox/flox 新生児マウス精巣より常法 にて精子幹細胞株を樹立した(PKCλ floxGS 細胞)。現在この細胞にAxCANCreアデノウイルスを感染させ、PKCλの欠損を誘導しPKCλ KO GS細胞の作製を試みている。2. 精子幹細胞ホーミングにおけるPKCλ の機能解析精子幹細胞ホーミングにPKCλ が関与するか否かを、PKCλ conditional KO マウス精巣細胞の移植アッセイより検討した。PKCλflox/flox マウスとR26R マウス(Cre リコンビナーゼを作用させるとlacZ 遺伝子を発現し、X-gal 染色で青染される)を掛け合わせPKCλflox/flox R26Rflox/+マウス(以後PKCλ ミュータント)、及び PKCλ+/+ R26Rflox/+(以後コントロール)マウスを作製した。生後8~12日齢のPKCλ ミュータント及びコントロールマウスより精巣細胞を調製、Cre を発現するAxCAN Cre アデノウイルスを感染させ、PKCλ 遺伝子破壊を行った。翌日細胞を回収し、成獣のWBB6F1-KitW/W-v マウス(雄性不妊モデル、以後W マウス)精巣へ移植した。現在移植結果の解析準備を進めている。今後、移植マウス精巣より精巣を摘出、移植された精子幹細胞によるコロニーをX-gal 染色により可視化し、精巣の重さとコロニー数を定量する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初計画に準じた達成度であった。予定としてはまずPKCλ KO GS 細胞の作製が目標であったが、PKCλ floxGS 細胞の作製に成功し、現在、PKCλの欠損誘導によるPKCλ KO GS細胞の作製に取りかかっており、この細胞の樹立にめどが立っている。また、精子幹細胞ホーミングにおけるPKCλ の機能解析も概ね順調に進捗し、解析の一歩手前まで進めることができた。ほどなく結果が得られる予定である。
これまでのところ順調に研究が進展しており、当初の計画通りに研究を推進する。平成25年度の計画は以下の通りである。1. PKCλ の発現・活性制御因子の同定精子幹細胞においてPKCλ がどのような刺激により制御されるかを検討する。刺激を与える因子の候補として、セルトリ細胞/基底膜への接着、精子幹細胞の自己複製因子であるGDNF,FGF-2、及び始原生殖細胞の遊走を誘導するCXCL12 を検討する。GFP マウス由来GS 細胞をセルトリ細胞フィーダーまたはラミニン(精細管の基底膜成分)コートディッシュに接着させ、あるいは培地にGDNF, FGF-2, CXCL12 を添加し、刺激を加える。遺伝子発現の変化はリアルタイムPCR、PKCλ の活性化はリン酸化PKCλ に対する抗体を用いたwestern blot にて検討する。2. PKCλ がRac1 による制御を受けるかを検討するRac1 は精子幹細胞のホーミングに必要な分子であるが6、PKCλ はRac1 の下流分子として働くかを検討する。既に作製済みのRac1 flox GS と Rac1 KO GS において、PKCλ の発現比較をリアルタイムPCR により行う。また、PKCλ の活性化状態は、リン酸化PKCλ に対する抗体を用いたwestern blot により検討する。
該当無し。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Cell Stem Cell
巻: 11 ページ: 567-578
10.1016/j.stem.2012.06.011.