研究課題/領域番号 |
24590481
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高島 誠司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40396891)
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キーワード | 精子幹細胞 / ホーミング / 血液精巣関門 / 再生医療 / 生殖医療 |
研究概要 |
精子幹細胞のホーミングにPKClが関与するかを検証すべく、PKCl コンディショナルノックアウトマウス精巣細胞の移植アッセイを行った。PKCl flox/floxマウス(Creリコンビナーゼによる遺伝子組み換えでPKCl遺伝子を欠損させられる)とR26Rマウス(Creリコンビナーゼによる遺伝子組み換えでLacZ遺伝子を発現、X-gal染色により青染できる)を掛け合わせ、PKClflox/flox; R26Rマウス(以後PKClミュータントマウス)及びPKCl+/+; R26Rマウス(以後野生型マウス)を作成した。生後8~12日齢のPKClミュータントマウス及び野生型マウスより精巣細胞を調製、Creリコンビナーゼ発現アデノウイルスを感染させPKCl遺伝子破壊とLacZ遺伝子発現誘導を行った後、不妊モデルマウス精細管へ移植した。移植二ヶ月後、ホストのマウスを犧死させ精巣を摘出、精巣の大きさと重さを比較するとともに、X-gal染色を行い、生着した精子幹細胞コロニーの数を検討した。結果、PKClミュータントと野生型の間で精巣の大きさや重さ、生着した幹細胞コロニー数に差は無かった。PKClミュータント精子幹細胞によるコロニーでは、精子幹細胞は分化し精子形成をおこなっていた。 PKClと同様の機能を示す分子としてPKCzが知られているが、この遺伝子のノックアウトマウスは特に異常が見られない。しかし、この分子がPKCl欠損を補完したためPKClミュータントマウスでフェノタイプが見られなかった可能性がある。つまり、PKClとPKCzが共に欠損した場合にフェノタイプが現れる可能性が考えられる。そこで現在、PKClミュータントマウスに更にPKCzノックアウトマウスを掛け合わせ、PKCl flox/flox; PKCz-/-; R26Rマウスの作成を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進め方自体には問題なかったと考えている。結果は予想に反し、PKClミュータントマウス由来精子幹細胞は、ホーミングに関しては野生型と差が無かった。その原因としてPKCzによる機能補完をが想定された。
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今後の研究の推進方策 |
PKClの機能補完を行っている事が予想されるPKCzの遺伝子を破壊した『PKCl flox/flox; PKCz-/-; R26Rマウス』を作製し、再度ホーミングアッセイを行う。また、PKClが活性化された場合に精子幹細胞のホーミングにどのような影響が出るかを検討すべく、培養精子幹細胞(Germline stem cell: GS細胞)に恒常活性型PKClを強制発現させホーミンングアッセイを行う。 上記検討によりPKClが精子幹細胞のホーミングにどのような役割を果たすかを明らかにする。
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