研究課題/領域番号 |
24590482
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河口 直正 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70224748)
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研究分担者 |
濱田 吉之輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10362683)
松浦 成昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190402)
森 誠司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90467506)
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キーワード | 再生医療 |
研究概要 |
in vitroでの検討より、TIMPファミリーのなかから、より効果的な心筋組織中の線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化誘導効率、心筋リモデリングおよびアポトーシス抑制作用を有するTIMP-1およびTIMP-3を選び、この2つの因子をそれぞれ徐放するコラーゲンゲルを作製し虚血性心筋症モデルラットに移植した。コラーゲンゲル移植2、4、6、8週間後に心機能評価と組織学的評価を行った。心機能評価の結果、ゲル移植2週後からTIMP-1,TIMP-3徐放ゲル移植群では結紮のみを行ったコントロール群と比較し有意に心機能が改善し、その心機能改善効果はゲル移植8週後まで持続していた。梗塞境界領域の心筋組織での心筋線維化、心筋細胞の肥大や左心室腔の拡張といった心筋リモデリングにおいてもTIMP-1,TIMP-3徐放ゲル移植群でコントロール群と比較し有意な抑制効果が認められた。アポトーシスに関しても、TIMP-1、TIMP-3徐放ゲル移植群において、梗塞領域および梗塞境界領域の心筋組織でのcleaved-PARPの発現量が少なく、有意にアポトーシスによる心筋細胞死を抑制していた。以上の結果より、TIMP-1またはTIMP-3徐放ゲル移植によって有意かつ持続的な心機能改善効果が認められた。この効果は、ゲルより徐放されたTIMPによる梗塞周辺部の心筋リモデリングの抑制およびアポトーシスの抑制効果によるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TIMP-1およびTIMP-3を徐放するコラーゲンゲルを作製し虚血性心筋症モデルラットに移植し検討した結果、TIMP-1およびTIMP-3は心筋リモデリング抑制作用、アポトーシス抑制作用を有していることを示した。さらに、これらの作用により心機能を改善する効果があることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
虚血性心筋症モデルラットを用いて、TIMP-1およびTIMP-3の線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化誘導作用、マトリックス・メタロプロテアーゼの活性、サイトカイン(肝細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、インシュリン様増殖因子)分泌、エラスチン線維増殖作用について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった。 当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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