研究課題
我々は、抑制性IgG Fc受容体(FcγRII)発現欠損と、FcγRIIコード遺伝子Fcgr2bの下流のSle16領域に存在するSLAM familyコード遺伝子が129マウスに由来するマウス系(KO1と命名)に、ヒト関節リウマチ(RA)に近似した全身の多発関節炎を自然発症すること、さらにFcγRII発現欠損とB6マウスに由来するSLAM family遺伝子多型を持つマウス系(KO2と命名)には自己免疫病態は発症しないことを見出した。さらに、KO1マウスに自己免疫促進遺伝子Yaaを導入すると、RAは抑制され、代わりに高度のループス腎炎が発症すること、KO2マウスにYaa遺伝子を導入するとループス腎炎が発症することを見出した。この一連の解析結果から、FcγRIIB発現欠損、SLAM family遺伝子多型、およびYaa遺伝子の相補作用が、疾患感受性および疾患特異性を左右することが明らかとなった。本研究では、これらの3つの遺伝要因の作用を、個別に解析する研究を進め、次の3つの研究結果を得た。1)細胞特異的FcγRIIB発現欠損マウス系の樹立:細胞特異的にFcγRIIB発現を欠損するマウス系にYaa遺伝子を導入し、ループス腎炎発症に係る細胞群の同定を進めた結果、B細胞および単核球上のFcγRIIB発現欠損が、各々異なる機序で自己抗体産生を誘導することを見出した。2)RAおよびループス腎炎発症に係る素因遺伝子のゲノムワイド解析:KO1マウスとNZWマウスを交配したマウス系を用いて、RAおよびループス腎炎発症に関与する疾患共通遺伝子および疾患特異的遺伝子をゲノムワイドに解析を進行中である。3)KO1マウスの関節炎発症機序の解析: KO1マウスの関節炎発症に関与するサイトカイン解析で、TNFαおよびIL-6の病因としての重要性は、破骨に係るRANKL/OPG比率亢進であることを明らかにした。一方、IL-17は、KO1マウスの関節炎発症の要因でないことも明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件)
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