研究概要 |
タイ肝吸虫感染が胆管癌の発癌を誘発することはすでに明らかにされた。本研究はタイ肝吸虫の感染による発癌動物の血清おける動態、肝吸虫の胆管癌の患者血清検出の検証を行うにより、新規また早期診断用腫瘍マーカーを開発する及び検出系を確立する目的である 我々はcDNAマイクロアレイ解析に基づいて、タイ肝吸虫感染による胆管癌の新たな腫瘍マーカーの候補をリストアップした。今年度には、候補腫瘍マーカー(Spint2, Catenin, Pdpk1, Pten, S100A2, S100A4, S100A6, S100P, Stmn1, Trimm55, Cyps, Pxr, Car, Hgd, Idh1, Idh2)の感染による胆管がん動物モデルの発癌過程にmRNA発現動態及び肝吸虫流行地由来胆管癌患者の腫瘍組織における発現を測定した。結果はこれら遺伝子の発現が発癌過程また腫瘍組織において、増加また低下になったことを示した。 さらに、MFGE8について、新たな腫瘍マーカー候補としての解析を行った。タイ肝吸虫感染による胆管癌動物モデルにおいて、Mfge8の発現は発癌過程に伴って、著しく増加した。80例流行地由来胆管癌患者の癌組織における発現の増加も認められ、免疫染色は90%以上患者の癌組織が陽性を示した。さらに増加した発現は腫瘍細胞質及び膜に局在し、発癌に関与を示唆した。臨床病理との相関性の解析した結果は、高くなった発現が生存率、悪性度及び転移と有意義的な相関性があることを示した。さらに、患者の血清において、MFGE8のレベルはタイ肝吸虫感染者及び健康者により有意義に高くなった。shRNAでノックダウンするによって癌細胞の増殖が抑制されることに合わせ、MFGE8はタイ肝吸虫に関連する胆管癌の新たな腫瘍マーカーとして、発癌解明、早期診断及び治療に応用することが期待される。
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