研究概要 |
前年度に引き続き、マラリア感染時における樹状細胞(DC)のホメオスタシス機構のより詳細な理解のため、マウスマラリアPlasmodium berghei ANKA (PbA)感染における脾臓内のconventional DC(cDC)ならびにplasmacytoid DC(pDC)の細胞数の変動について解析した。その結果、PbA感染によりcDC, pDCとも細胞数が感染前と比較して有意に減少することが明らかになった。また、cDC, pDCともマラリア感染に伴い強い活性化が確認された(cDC:CD80,CD86,CD40 pDC:PDC-TREM,CD86発現)。よりアポトーシスに特化するため、活性型caspase-3発現を検討した。その結果、cDC、pDCともにPbA感染後、DCの活性化に伴って、活性型caspase-3が有意に増加していた。 Type I IFNの影響を調べるため、type I IFNの受容体であるIFNARの阻害抗体をPbA感染マウスに投与しDCに与える効果を検討した。その結果、cDCにおけるCD80, CD86発現が有意に減少し、それに伴い、cDCにおける活性型caspase-3発現が減少し、cDCの細胞数減少が回復した。typeI IFNがcDCの活性化に大きな影響があることが明らかになった。これらの結果からPbA感染時にcDCはIFN依存的に成熟化が進み最終的にcaspase-3の活性化が起こり死にいたると考えられる。 このようなマラリア感染時におけるDCの細胞数の減少はマラリア感染で見られるさまざまな病態発症と関連するものと考えられる(Tamura et al. Infection and Immunity, p3947, 2011, Tamura et al., Parasite Immunology, p87, 2014)。
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