研究課題/領域番号 |
24590508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂口 美亜子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50400651)
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研究分担者 |
矢幡 一英 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40467965)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マラリア / マウレル裂 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究の目的はマラリア原虫感染赤血球内に構築されるマウレル裂の形成過程を明らかにし、マウレル裂の詳細構造を明らかにすることである。平成24年度の実施計画は、マウレル裂関連タンパク質について蛍光タンパク質及びエピトープタグでラベルした組換えマラリア原虫を作製し、マウレル裂の位置に目的タンパク質が発現しているかどうかを蛍光顕微鏡で調べることであった。 初めにマウレル裂関連タンパク質の一つであるPfmc2TMに対して蛍光タンパク質のGFPとエピトープタグの3TYを付加し、hrp3あるいはHSP86プロモーターで発現するようにした組換えマラリア原虫を作製した。トランスフェクション後薬剤によって選択され、約三週間で出現した原虫をまず生細胞の状態で蛍光顕微鏡観察した結果、GFPのシグナルは観察されたが弱いことが分かった。さらにGFP及びTYに対する抗体とマウレル裂マーカータンパク質であるSBP1に対する抗体を用いて免疫染色し、Pfmc2TMがマウレル裂に発現しているのかどうかを調べた結果、GFP及びTYシグナルがSBP1のシグナルと共局在を示したことを確認した。 そこでさらにTYのみでなく他のエピトープタグとして、Myc、FLAG、HAを付加したPfmc2TMをhrp3プロモーターで発現するようにした組換え原虫を同様に作製した。それぞれのエピトープタグに対する抗体及びSBP1に対する抗体を用いて免疫染色を行い蛍光顕微鏡で観察した結果、Myc、FLAG、HA全てのシグナルがSBP1のシグナルと共局在を示し、発現したPfmc2TMがマウレル裂にあることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つであるマウレル裂の形成過程を明らかにするためには、マラリア原虫の各ステージにおけるマウレル裂関連タンパク質の局在を知ることが重要である。そのためには蛍光タンパク質やエピトープタグを付加したマウレル裂関連タンパク質を発現する組換え原虫が必要となる。 平成24年度の研究成果として、蛍光タンパク質のGFP及びエピトープタグの3TYを付加したPfmc2TMを発現する原虫だけでなく、他のエピトープタグであるMyc、FLAG、HAをそれぞれ付加した組換え原虫を作製し、それぞれの組換え原虫において発現されたPfmc2TMがマウレル裂にあることが確認されたので、計画通りに進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、平成24年度に作製した組換え原虫のうち、蛍光タンパク質のGFPを付加したPfmc2TMを発現する組換え原虫を用いてライブイメージングを行う。マウレル裂関連タンパク質が原虫内からどのような経路を辿ってマウレル裂へと輸送されるのか、マウレル裂が形成されていく時間軸に沿ってGFPシグナルを検出していき、その位置を確認する。 また、同様に作製された組換え原虫のエピトープタグに対する抗体を用いて免疫電子顕微鏡解析を行い、原虫の各ステージにおけるPfmc2TMの局在を調べてライブイメージングの結果と比較検討を行う。 さらにマウレル裂の詳細構造を明らかにするために、高分解能走査型電子顕微鏡を用いて観察を行う。マラリア原虫感染赤血球をオスミウム抽出法により細胞質を取り除いて膜構造だけを残し、各ステージのマウレル裂の3D像の網羅的な解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としては、電子顕微鏡観察のための試料作製に必要な電顕試薬や電顕器具、ライブイメージング及び免疫電顕解析に必要な抗体試薬が挙げられる。 また、研究成果発表や情報収集、そして研究打ち合わせのために旅費を使用する予定である。 その他の費用としては、学会や研修会の参加費や受講料のために支出される予定である。
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