研究課題/領域番号 |
24590508
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂口 美亜子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50400651)
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研究分担者 |
矢幡 一英 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40467965)
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キーワード | マラリア / マウレル裂 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究の目的はマラリア原虫感染赤血球内に構築されるマウレル裂の形成過程を明らかにし、マウレル裂の詳細構造を明らかにすることである。平成25年度の実施計画は、平成24年度に作製した組換えマラリア原虫を用いてレーザー顕微鏡によるライブイメージングを行うことや、組換え原虫に付加したエピトープタグに対する免疫電顕解析を行うことであった。 まず、マウレル裂関連タンパク質の一つであるPfmc2TMに対して蛍光タンパク質のGFPとエピトープタグを付加し、hrp3あるいはHSP86プロモーターで発現するようにした組換え原虫を用いてライブ観察を行ったが、GFPの蛍光シグナルが非常に弱く、さらに最初に見られた蛍光シグナルが時間が経つにつれ消失してしまうため、生細胞の状態での長時間のイメージングは不可能であった。 次に、組換え原虫に付与したエピトープタグであるTY、Myc、FLAG、HAについてPfmc2TMの局在を詳細に調べるために、免疫電顕法による解析を行った。平成24年度において、蛍光顕微鏡によるエピトープタグ抗体の免疫染色の結果から組換え原虫によって発現されたPfmc2TMがマウレル裂に局在することはすでに確認済みである。そこで今年度では試料について化学固定あるいは高圧凍結装置による急速凍結固定を行い、その後免疫電顕用ブロックを作製してエピトープタグ抗体を用いた免疫染色を行った。しかし蛍光顕微鏡観察の結果と異なり、免疫電顕によりこれらエピトープタグの局在を検出することはできなかった。この原因として、電顕用試料作製の際に細胞内の抗原性が正しく保持されなかったことが挙げられる。 そこで次に計画されていた、走査電子顕微鏡を用いて感染赤血球内のマウレル裂の微細構造とその形成過程を調べるために、三次元再構築像を取得するための試料作製の検討を行い、ブロック染色に用いる試薬や処理時間の条件設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製した組換えマラリア原虫を用いてレーザー顕微鏡によるライブイメージングを行うことや組換え原虫に付加したエピトープタグに対する免疫電顕解析を行うことは、当初計画していたような思うような結果が得られず、これらの点については進展しているとはいえない。しかし、本研究の最も重要な目的である感染赤血球内のマウレル裂の微細構造とその形成過程を調べるために、感染赤血球の三次元再構築像を取得するための試料作製の条件検討を行い、すでに走査電子顕微鏡による観察や撮影、そして三次元再構築像の取得が可能となっている。この結果から、平成26年度に予定されている研究が円滑に推進できると確信している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、走査電子顕微鏡を用いてマウレル裂の微細構造を含めたマラリア原虫感染赤血球全体の三次元再構築像を取得し、画像解析を行う。 当初計画していたオスミウム抽出法によるサンプル作製では、丸ごと一つの完全な感染赤血球の三次元再構築像を取得することはできないため、オスミウム抽出法よりも簡便でかつ完全な感染赤血球全体の三次元再構築像を取得することを目的として、通常の透過型電子顕微鏡観察用の試料作製に加えてブロック染色したものを、走査電子顕微鏡法の一つであるSerial Block Face-Scanning Electron Microscopy(SBF-SEM)を用いて多数の丸ごとの感染赤血球像を短時間で撮影する。 特に、マラリア原虫のライフサイクルの各ステージにおける三次元再構築像を取得し、マウレル裂の形態やその形成過程について網羅的な解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に計画していたライブイメージングと免疫電顕解析では目的分子の局在が上手く検出されなかったため、これらの実験に使用する予定だった消耗品費を平成26年度の消耗品費とすることにした。 また、研究協力者であるケースウェスタンリザーブ大学の藤岡壽博士と研究打合せを行う予定であったが、先方とこちらの日程の都合が合わなかったため出張できず、外国旅費として使用することができなかった。 走査電子顕微鏡法の一つであるSBF-SEMを使用して感染赤血球の三次元再構築像を取得するために、試料作製に必要な試薬やディスポーザブル器具を購入するための消耗品費として使用する。 また平成25年度に行う予定だった研究協力者との研究打合せを行うために、外国への出張旅費として使用する。
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