研究課題/領域番号 |
24590509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
矢幡 一英 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40467965)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マラリア / 赤血球侵入 |
研究概要 |
本研究はマラリア原虫の赤血球侵入の際に起こる分子メカニズムを、赤血球侵入に関連する抗体と蛍光イオンプローブ、さらにライブイメージングシステムを用いて時間空間的に解析することを目的とした。 熱帯熱マラリア原虫は感染赤血球から放出後、数秒以内に赤血球に感染出来るが、ローデントマラリア原虫は感染赤血球から放出後、形態変化を起こした後に赤血球に侵入することを見出した。赤血球侵入に関わる重要な原虫因子である、AMA1抗体を用いて感染赤血球からの放出前後のAMA1局在を調べたところAMA1の局在が異なることが見られたことから、マラリア原虫の赤血球侵入にはAMA1の局在変化が関わっていることが示唆された。 赤血球侵入関連分子が活性化するためにはマラリア原虫内部から、また外部からシグナルを受け取ることで機能すると考えられている。Fluo4染色した熱帯熱マラリア原虫を用いることにより、マラリア原虫が感染赤血球から放出される直前の数秒以内に原虫細胞内カルシウム濃度が瞬間的に上昇し、マラリア原虫は感染赤血球から放出されることを観察した。またマラリア原虫が赤血球に侵入する際に形成する、マラリア原虫と赤血球との密着接合面で局所的なカルシウムの集積が確認された。さらに、マラリア原虫と赤血球の侵入に関与するRON2-AMA1複合体形成を阻害するR1ペプチドを用いたところ、マラリア原虫が赤血球に密着接合した後に侵入阻害され、また密着接合面にはカルシウム集積は認められなかった。これまでマラリア原虫にカルシウムキレーターを導入する事によりマラリア原虫の増殖阻害効果が見られていたが、マラリア原虫放出時のみならず、赤血球侵入時にもカルシウムシグナルが関与する事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マラリア原虫の赤血球侵入関連抗体を用いた局在解析が遅れているが、当面の目標は計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
抗体の入手はほぼ終わっているため、局在解析を行うための個々の抗体についての最適条件とサンプル調整法を早急に整える。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度からの次年度使用額:560,757円 使用予定であった長期出張旅費が短期としたために発生、次年度の1,300,000円と合わせて顕微鏡部品代、もしくは試薬代として使用する。
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