研究課題/領域番号 |
24590512
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
上田 たかね 帝京大学, 医学部, 助教 (80459312)
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研究分担者 |
斧 康雄 帝京大学, 医学部, 教授 (10177272)
祖母井 庸之 帝京大学, 医学部, 講師 (10311416)
菊地 弘敏 帝京大学, 医学部, 講師 (80338681)
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キーワード | 原虫 / 細胞外ヌクレオチド酵素 / immunomodulator / inflammatory response / 遺伝子発現 |
研究概要 |
細胞内寄生原虫トキソプラズマは感染した細胞内にParasitophorous vacuoleを形成し、宿主の免疫機構を回避しながら増殖や慢性感染を持続させている。この原虫が感染し細胞が傷害や破壊をうけると、細胞からは細胞質内のATPが漏出し周囲の細胞はATPに曝露されることになる。一般にATPは炎症亢進因子であり、生体内では高状勢維持のために細胞表面に発現しているCD39,CD73が細胞外ヌクレオチド分解酵素が炎症因子であるATPを分解していることが報告されている。トキソプラズマはNTPaseと呼ばれるCD39に似た、ecto-apyrase活性を有する酵素タンパクを有しており、この酵素タンパクがimmunomodulator として免疫細胞やその他の細胞に対する可能性について培養細胞や末梢血分離好中球などを用いて解析することが本研究の目的である。 インビトロにおいて好中球様に分化させた好中球やマスト細胞株であるLAD2はATP曝露により、炎症性サイトカインであるTNF-aの遺伝子が増強した。そこで、細胞にATPと、原虫から生成したNTPaseを混合して、細胞外ATPの分解がみられるカどうかについてHPLCを用いて解析を行っているところである。ATP,ADP,AMP,Adenosine の各ヌクレオチドのスタンダード検出ができるカラムの選定と分離条件を設定し、現在NTPaseを加えられた細胞の遺伝子発現量変化について解析継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年度において、原虫培養とNTPaseの精製を行いHPLCを用いた解析を始めたが、最適なカラムの選定と分離条件設定に予想外に時間がかかってしまった。また分担研究で行っている 細菌の実験にも時間を要したため、当初予定していた実験が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
ATP,ADP,AMP adenosine標準品でのHPLCの検出限界や標準曲線の条件検討はしてあるので、今後は試料の解析を行う予定であるが、一部は基質を用いた吸光度測定での解析も行う。酵素活性部位に変異を起させたリコンビナント酵素の作製と、この酵素の機能の喪失が好中球やマスト細胞にどのように影響をあたえるかについてインビトロで遺伝子発現や炎症性サイトカイン産生などを指標に解析する。マウスへの感染実験を行いインビボでどのように作用するのか解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
業者からの消費税が1円余ってしまったことによる。 次年度に内定される研究費に加算して使用する。
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