研究課題
本研究では,神経培養細胞を用いたSEAの神経毒性と催吐シグナル受容体の検索・解析を行った.先ずは,PC12及びENStem-Aの2種類神経細胞を用い,SEAとの結合性と細胞の反応性を調べた.また,作製したSEAと各種の変異体mSEAを用い,2種類の神経細胞をそれぞれ刺激し,細胞エフェクター分子の発現,神経伝達物質(特に5-HT,Substance P)の産生と放出を比較検討した,さらに,神経細胞のSEAとの結合分子をFar-Western Bloting法とPull-Down Assayにより解析した.SEAと結合した神経細胞から結合タンパク質を精製し,Mascot Searchにより受容体タンパクを解析し,SEAの神経毒性と特異的な催吐シグナル受容体を検討した.これらの結果により,SEAは神経細胞のVanilloid receptorと結合し,神経伝達物質(5-HT)の産生と放出を促進することにより,嘔吐を誘導することが示唆された.また,スンクスを用いたSEAの細胞受容体及びその分子シグナル伝達経路について,生体レベルで検討した.SEAを経口投与後,スンクスの胃,腸管及び脳組織をサンプリングし,組織切片を作製すると同時にタンパク質の精製を行なった.これらの組織・細胞中の関連受容体分子の発現を遺伝子とタンパク質レベルで解析し,神経培養細胞から得られた結果と比較検討し,in vivoにおいて検証した.一方,SEAの神経細胞に対する毒性について検討したところ,SEAは神経細胞と共培養では,細胞の形態や増殖には顕著なダメージや細胞死などを観察されなかった.これらの結果から,SEAは神経細胞に直接的に外観的な変化を起こさないが,神経細胞のシグナル伝達に影響を与えることを明らかにした.
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