我々はこれまで小型嘔吐動物モデル・スンクスを用い,ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)の催吐活性とそのメカニズムを検討してきた.本研究では,SEの新たな機能―神経毒作用について検討した.SEはスンクス実験において,嘔吐活性を示したが,下痢活性を有さないことを明らかにした.また,神経細胞受容体のアンタゴニストを投与することによりスンクスの嘔吐を抑制した.さらに,毒素と神経培養細胞との結合性,細胞内5-HT等の産生と放出を検討した,SEは神経細胞に毒性を示さなかったが,神経細胞に結合し,細胞シグナル伝達物質を刺激し,神経細胞内シグナル調節機能を有することを明らかにした.
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