研究課題/領域番号 |
24590518
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
川本 進 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (80125921)
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キーワード | 低酸素ストレス / 病原真菌 / クリプトコックス / シグナル伝達 / 環境応答 / 細胞周期制御 / 転写因子 / アグロバクテリウム |
研究概要 |
病原酵母Cryptococcus neoformansは、我が国に常在する真菌のうちで最も病原性が強く、易感染患者、特に、エイズ患者の直接死因としても臨床的に極めて重要な真菌である。本菌は生育に酸素が必須な偏性好気性酵母であるが、自然環境からヒトに感染時、肺に感染して血流に乗り血液脳関門を通過後、脳内に至って髄膜炎等を起こすと考えられており、高酸素環境(自然環境、肺)から低酸素環境(血流、脳内)への劇的な酸素濃度変化などに打ち勝って初めて増殖し病原性を示す。本菌の「低酸素状態に対する環境応答」は本菌の病原性発揮にも深く関連する病原因子のひとつと考えられ、本菌の低酸素応答遺伝子として「転写因子A」、すなわち、「転写因子 Crz-1/Sp-1」を得て、低酸素応答機構における、本分子の機能解析を進めている。 更に、低酸素応答遺伝子として、以下のように、新たに、「遺伝子 B」を得た。まず、Agrobacterium法による形質転換を用いて、ゲノムランダム挿入ミュータントライブラリーを作製し、その中から低酸素環境非適応株を選抜した。次に、選抜された菌株のT-DNA挿入部位をシーケンス解析によって特定し、相同組換えによりその遺伝子破壊株を作製した。そして、遺伝子破壊株の低酸素条件下における性質を解析するために、生存率測定を行ったところ、「遺伝子 B」の遺伝子破壊株は野生株よりも低酸素条件下の生存率が低いことが確認でき、「遺伝子 B」の分子機能解析を更に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には、Cryptococcus neoformans の低酸素応答遺伝子として見出した「転写因子A」、すなわち、「転写因子 Crz-1/Sp-1」の分子機能解析を更に進めるとともに、Agrobacterium法による形質転換を用いて、新たに低酸素応答遺伝子「遺伝子B」を見出し、分子機能解析を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、Cryptococcus neoformans の低酸素応答遺伝子として見出した「転写因子A」、すなわち「転写因子 Crz-1/Sp-1」、及び「遺伝子B」の分子機能解析を更に進めるとともに、シグナル伝達下流分子や病原性への寄与などについて更に解析を進める予定である。更には、C. neoformansの低酸素ストレスに対する環境応答シグナリング機構の解明を目指し、本菌の病原性との関連を考察し、C. neoformans における低酸素応答メカニズムの解明や新規薬剤の開発へと繋がる知見が得られることを期待している。
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次年度の研究費の使用計画 |
理由 平成25年度には、当初の配分額にほぼ相当する額を使用したので、平成24年度から繰り越した未使用額(918,271円)にほぼ相当する額(956,200円)が未使用額として生じた。 使用計画 平成26年度には、上記未使用額分を含めて、消耗品費など物品費の他、国内外の学会に参加して研究発表、情報収集するための国内外旅費として使用するとともに、研究補助者を雇用して、人件費、謝金としても使用する予定である。
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