研究課題
これまでの研究成果から、結核菌に対する感染防御の誘導にはApoptosis-associated speck-like protein containing caspase recruitment domain(ASC)が関与することが示されている。そこで、ASCの活性化がどのような機序で誘導されるのかについて解析した。その結果、ASCは特定のチロシン残基がリン酸化されると凝集し、ASCスペックを形成することが明らかになった。さらにこの機序について詳細に解析したところ、ASCのリン酸化にはプロテインキナーゼであるc-jun N-terminal kinase (JNK)およびSpleen tyrosine kinase (Syk)が関与し、これらキナーゼによりASCの144番目のチロシン残基がリン酸化されることが明らかとなった。また、144番目のチロシン残基の変異体を用いた解析から、同アミノ酸のリン酸化がASCスペック形成に重要であることが示された。BCG 接種4週目以降に結核菌を経鼻感染させたマウスの肺におけるTh1型サイトカインやケモカイン産生量は、結核菌のみを感染させたマウスのそれらよりも弱かった。この結果は、BCG接種により強い防御免疫が出現するが、その制御に関わる抑制機序も誘導されることを示すものである。そこで、抗原特異的T細胞からのIFN-γ産生を指標にして、この制御機序について検討した。その結果、PD-1シグナル経路はエフェクターおよびエフェクターメモリーT細胞細胞からのIFN-γ産生を抑制する強い効果を発揮することが示された。また、セントラルメモリーからエフェクターT細胞への分化制御には、PD-1よりもTim3経路が重要な役割を果たすことが示された。
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