研究課題/領域番号 |
24590529
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中尾 浩史 琉球大学, 医学部, 教授 (20237217)
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キーワード | 腸炎ビブリオ / 鉄 / シデロフォア |
研究概要 |
腸炎ビブリオは我国の細菌性食中毒の主要な原因菌の一つである。近年、食のグローバル化に伴い、様々な国での感染報告がなされている。 腸炎ビブリオは、他の生物と同様にその生存・増殖に「鉄」を必要とする。しかし、環境中あるいは生体内において細菌が利用できる遊離鉄はごくわずかである。そのため、腸炎ビブリオは病原性を発揮するため、また、その早い増殖を支えるために優れた鉄獲得機構を有している。申請者は、腸炎ビブリオが鉄と特異的に結合するキレーターであるシデロフォア・ビブリオフェリンを菌体外に分泌し、鉄・ビブリオフェリン複合体をPvuAという受容体蛋白を介して取り込む系があることを見出し、鉄制限に応じた発現制御が行われていることについて明らかにしてきた。 今年度は腸炎ビブリオのビブリオフェリン受容体pvuA遺伝子破壊株の作成を試みた。Suicide vector (破壊株作成用ベクター) pKTN701にPCRクローニングによってpvuA遺伝子を組み込み、相同組換えによって、いくつかの候補となるクローンを得たところである。このクローンが遺伝子を欠損しているかについて、現在確認中である。また、昨年度作成したPvuA大量産生株を用いてPvuAの大量発現条件の検討およびPvuAの精製を行い、これを抗原としたモノクローナル抗体の作成も進行中である。大量産生されたPvuAは封入体中にあったため、可溶化および結晶化の検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
pvuA遺伝子破壊株の候補が取れていることと、大量産生株を用いたPvuA蛋白質の大量産生と精製を終え、モノクローナル抗体の作成を始めているため。
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今後の研究の推進方策 |
pvuA遺伝子欠損株を用いて、PvuAの性質・重要性について明らかにしていくこと。 抗PvuAモノクローナル抗体を引き続き行うこと。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度中に作成する予定だった欠損株であるが、早期に作成できた場合に備え、その欠損株を用いた検討のための試薬等の物品費について計上していたため。当該年度の終わりに得られたため、来年度に繰り越すこととなった。 PvuA欠損株を用いてPvuAの諸性質(鉄要求性など)を明らかにするために使用する。
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