研究課題/領域番号 |
24590532
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
荻田 亮 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 准教授 (00244624)
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キーワード | 液胞膜障害作用 |
研究概要 |
これまでの研究において、ポリエン系抗生物質であるアンホテリシンB(AmB)の真菌液胞膜障害作用はニンニク成分であるアリシンや合成誘導体N-methyl-N"-dodecylguanidine(MC12)によって促進されることが明らかにされている。本年度の研究では、まずAmBの蛍光標識誘導体(dAmB)を用いてAmBの致死作用と細胞内動態との関係を明らかにしようとした。 致死濃度以下のdAmB処理細胞では、液胞膜に蛍光が観察されたが、液胞膜障害は観察されなかった。一方、MC12の共存下においてはdAmB処理細胞において液胞膜障害が観察されたことから、MC12は細胞内に取り込まれたAmBが液胞膜に作用する過程を促進していることが判った。 AmBに耐性を示すΔerg3株はエルゴステロールの代替としてエピステロールを細胞内に蓄積する。本変異株においては、細胞内にdAmBの蛍光が観察されなかったことから、エルゴステロールがAmBの細胞内への取り込みにおいても重要な役割を果たしていることが明らかになった。 液胞膜融合が促進される低浸透圧環境下ではAmBの液胞膜障害作用が顕著に発現するが、MC12による更なる促進は認められない。一方、YPD培地中で非致死濃度のAmBで処理した細胞を蒸留水中に懸濁したところ液胞膜障害を伴う致死作用が確認された。 以上の結果から、AmBの液胞膜障害作用は液胞膜融合の過程で発現し、MC12は液胞膜融合を誘導することでAmBの液胞膜障害作用を増幅している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に予定していた研究執行計画を順調に遂行させており、その結果も良好・明確である。 よって、「研究の目的」の達成度は、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
1.殺真菌作用を増幅する天然由来成分のスクリーニング 天然由来成分を用いてスクリーニング実験を行い、殺真菌作用を示す新たな有効成分を同定する。同定された新規因子について、蛍光プローブ標識等を駆使し、明確な情報を得る。 2.薬剤耐性菌に対する有効性の検証 アンホテリシンBおよびポリミキシンBに耐性を示す遺伝子欠損株に対する有効性を検証し、インビトロ抗菌試験における系統的データを獲得すると同時に、応用展開の可能性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部の遺伝子欠損変異株および蛍光標識誘導体等を購入し実施しようとしていた実験について、次年度に実施した方が良いと判断したため。 薬剤の有効性および細胞内動態を評価するため、遺伝子欠損変異株および蛍光標識誘導体を用いた詳細なインビトロ抗菌試験を実施する。
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