amphotericin B (AmB) による真菌液胞膜障害作用はアリシンやN-methyl-N”-dodecylguanidine によって増幅されるとともに、貧栄養、低浸透圧下において顕著に増幅する。AmBによる液胞膜障害作用と、貧栄養および低浸透圧下において発現するオートファジーとの関連を検証するため、オートファジー関連遺伝子の欠損変異株に対する AmB の致死作用と液胞膜障害作用、ならびにその細胞内動態を親株のそれと比較した。 主として Saccharomyces cerevisiae BY4741 株および本株に由来するΔatg 株ならびに Δvma 株を用いた。Δatg 株および Δvma 株において AmB 耐性が生じていることが判った。Δatg 株、Δvma 株に蛍光標識を施した AmB を作用させたところ、Δatg 株では細胞質中に拡散し、Δvma 株では液胞内部へと取り込まれていること判った。すなわち Δatg 株では AmB を液胞膜に輸送する機構が機能しないことで AmB 耐性が生じており、一方、Δvma 株では AmB を取り込んだ小胞が液胞と融合しないために、AmB 耐性が生じていると推察された。これらの結果から AmB による液胞膜障害作用の発現は細胞のオートファジー機能と深く関連していることが明らかになった。
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