研究課題/領域番号 |
24590533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
山岸 純一 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (00589559)
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研究分担者 |
山田 作夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (00122458)
賀来 満夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40224357)
川井 眞好 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (40533922)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝 / 耐性機構 / アシネトバクター属 / キノロン薬 |
研究概要 |
本研究では、キノロン薬を含む多剤耐性菌に有効な抗菌剤の標的分子を見つけることを目指し、臨床現場で注目されているアシネトバクター バウマニのキノロン薬耐性機構について、詳細に解析を進めた。 ①キノロン耐性菌出現頻度の解析 ⇒ アシネトバクター バウマニのレボフロキサシン(LVFX)耐性菌の出現頻度は、選択濃度により異なるが、黄色ブドウ球菌や緑膿菌の場合と同様の結果が認められ、特にアシネトバクターの出現頻度が高いことはなかった。 ②実験室内自然突然変異キノロン耐性アシネトバクターの耐性機構の解析 ⇒ 野生型アシネトバクター バウマニ(ATCC19606)より、2種類の表現型を示すLVFX変異株を分離することができた。すなわち、LVFXやシプロフロキサシンの様なニューキノロン(NQ)とナリジクス酸やオキソリン酸の様なオールドキノロン(OQ)の両方に耐性を示すI型の変異株(LR108)はキノロンの標的酵素であるDNA gyraseのGyrAサブユニットにSer83→Leu変異が認められた。一方、NQに耐性を示すが、OQに感受性を示す2型の変異株(LR109)は、GyrAや二番目のキノロン標的酵素であるDNA topoisomeraseIVのサブユニットParCに従来より知られている変異は認められなかった。NQ耐性かつOQ感受性という、キノロン薬の種類により感受性が異なるというユニークなキノロン耐性アシネトバクター株を分離することができた。 ③臨床分離キノロン耐性アシネトバクターの耐性機構の解析 ⇒ 臨床現場より分離されたシプロフロキサシン耐性アシネトバクター バウマニ(約50株)について、プラスミド性キノロン耐性遺伝子の解析を行った。qnrA, gnrB, qnrC, qepA, oqxA, oqxB遺伝子の存在は認められなかった。現在、aac(6')-Ib-crの存在を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目的は、キノロン耐性アシネトバクターの新規耐性機構を明らかにし、抗菌ターゲットとしての可能性を探ることにある。 平成24年度の成果として、レボフロキサシンなどのニューキノロンに耐性を示すが、ナリジクス酸などのオールドキノロンに感受性を示すというユニークなキノロン耐性アシネトバクター バウマニ(LR109株)を分離することができた。今まで解析されているキノロン耐性菌は、一種類のキノロン薬に耐性を示すと他のキノロン薬にも耐性を示すという交差耐性を有するが、今回分離したLR109株は交差耐性を示さないことから興味あるキノロン耐性菌である。LR109株のキノロン耐性機構を詳細に解析することにより、新しい耐性メカニズムが解明でき、新規抗菌ターゲットを見出すことに繋がると期待できる。したがって、「本研究の目的」の達成を目指し、予定通り進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
①実験室内分離キノロン耐性アシネトバクター バウマニの耐性機構の解析 ⇒ 新規キノロン耐性機構を有する耐性菌(LR109株)の耐性メカニズムの解明に注力する。 (a)既知標的酵素の解析→DNA gyraseおよびDNA topoisomeraseIVをコードする全遺伝子配列を決定する。(b)菌体内キノロン蓄積量の解析→LC/MS/MSを用いた高速高感度菌体内キノロン薬濃度測定法は確立済みであり、この系を用いて耐性菌の菌体内キノロン薬濃度を測定する。アシネトバクターの薬剤排出ポンプの主な制御遺伝子ade遺伝子の発現量をRT-PCRにより検討する。(c)新規キノロン耐性遺伝子のショットガンクローニングを行う。 ②臨床分離キノロン耐性アシネトバクター属の耐性機構の解析 ⇒ プラスミド性キノロン耐性遺伝子の解明に注力する。 (a) 臨床分離アシネトバクター属の既知プラスミド性耐性遺伝子特にaac(6')-Ib-crを検討する。(b)臨床分離アシネトバクター属をdonorとし、リファンピシリン耐性大腸菌χ1037をrecipient株とした接合伝達実験により、新規プラスミド性キノロン耐性遺伝子を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(B-A)の26,747万円については、試薬代などの物品費に使用する予定です。
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