研究課題/領域番号 |
24590535
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
村上 泰介 順天堂大学, 医学部, 助教 (40384135)
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研究分担者 |
射場 敏明 順天堂大学, 医学部, 教授 (40193635)
長岡 功 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164399)
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キーワード | サーチュイン / lipopolysaccharide / 敗血症 |
研究概要 |
【目的】近年、Sirt1、Sirt2及びSirt6は敗血症における炎症応答に重要な転写因子NF-κBの活性を抑制的に制御することが見出された。したがってサーチュインは炎症反応の制御に依る敗血症の治療戦略において重要なターゲットとなりうる。本研究では、LPS刺激したマウスマクロファージ系細胞RAW264.7を用い、LPS刺激後の炎症性サイトカインの産生、及びNF-κBの65番目のリシン残基のアセチル化に対するサーチュイン活性化剤及び抑制剤の与える影響を調べた。 【方法】10 ng/mlのLPS(E.coli O111:B4由来)で刺激した2、6時間後、上清中のTNF-αをELISAによって測定した。また、刺激後のNF-κBのアセチル化をWesternblot法で解析した。また、サーチュイン活性化剤としてresveratrol添加群、抑制剤としてsirtinol添加群の検討も併せて行った。 【結果】TNF-αの産生は2時間後、6時間後に上昇した。50 μMのresveratrolの存在下ではこの上昇は有意に抑制された。一方、前年度の結果でも示されたように、Sirt1およびSirt2抑制剤であるsirtinol(50 μM)存在下では、TNF-αの産生は増強された。ResveratrolとsirtinolによるTNF-α産生に対する調節機構を調べるため、次に、LPS刺激後のNF-κBの65番目のリシン残基のアセチル化を調べたが、本条件でのLPS刺激下ではp65/K310のアセチル化に変化は見られなかった。TNF-αの産生が有意に変化する一方、NF-κBのアセチル化の程度に余り変化がなかった事から、NF-κBの上流のタンパク質もサーチュインにより制御を受ける可能性を念頭に今後の実験を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養細胞を用いた実験系は概ね当初の予定通り進んでいるが、当該年度に行う予定であったresveratrol刺激あるいはSirt1ノックダウンにより影響を受けるアセチル化タンパク質の童貞についての条件検討が難航し、遂行できていない。また、その遅れによりでCLP(腸管結紮穿孔)による敗血症モデルにおいてそれらのアセチル化タンパク質を解析することができていない。
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今後の研究の推進方策 |
遅れているサーチュイン制御下の炎症に関わるアセチル化タンパク質の同定を進め、CLP敗血症モデルマウスでの解析を行う。また、それらタンパク質がサーチュインファミリーのどの分子によって制御されるのかを含めて検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
タンパク質アレイチップを用いたサーチュイン活性化剤および抑制剤により影響を受けるタンパク質の同定が、条件検討の難航により、前年度に続き進んでいない。本研究に使用する予定であるチップ費用が未使用のため、次年度仕様額が発生した。 早急に条件検討を終わらせ、活性化剤あるいは抑制剤の添加によって影響を受ける炎症に関与するアセチル化タンパク質の同定をアレイによって行う。その後、それらタンパク質のCLP敗血症モデルにおける役割を解析する。
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