研究課題/領域番号 |
24590535
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
村上 泰介 順天堂大学, 医学部, 助教 (40384135)
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研究分担者 |
射場 敏明 順天堂大学, 医学部, 教授 (40193635)
長岡 功 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164399)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 敗血症 / sirtuin / LPS (lipopolysaccharide) |
研究実績の概要 |
Sirtuinファミリーに属するSIRT1およびSIRT6は、敗血症における炎症応答において重要な転写因子NF-κBの活性を抑制的に制御することが見出された。したがって、Sirtuinは炎症反応の制御に依る敗血症の治療戦略において重要なターゲットとなりうる。本研究では、LPS刺激したマウスマクロファージ様細胞RAW264.7を用い、LPS刺激後のサイトカイン産生(TNF-α)、SIRT1のmRNA、タンパク質発現について解析を行った。 10 ng/mlのLPS (E.coli O111:B4)で2、6、24時間刺激後、上清中のTNF-αをELISAによって測定したところ、resveratrol添加群では、LPS単独処理と比較してTNF-αの産生が有意に抑制され、Sirtinol添加群では有意な産生の増強が見られた。また、RT-PCR法、Western blot法によって刺激2、6、24時間後のmRNA 、タンパク質発現を観察したところ、LPS刺激、あるいはresveratrol, sirtinol添加によってSIRT1はmRNA、タンパク質とも未刺激群との間に変化は見られなかった。以上の結果より、resveratrolおよびsirtinolによる炎症応答の変化はSIRT1の発現や分解によらず、シグナル伝達分子のアセチル化を調節することによる可能性が示されたので、次にNF-κB等のアセチル化について解析、条件検討を行っている。また、次年度は敗血症モデルとして腸管結紮穿孔モデルを用い、採取した血球細胞等におけるsirtuinの活性、発現やシグナル伝達分子のアセチル化状態に変化があるかを解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、sirtuinの阻害剤、あるいは活性化剤存在下にLPSで刺激したマクロファージ系細胞株におけるアセチル化タンパク質の変動をプロテインアレイ、あるいはLC-MSによって網羅的に解析する予定であった。しかし、その条件検討の過程でLPS刺激細胞と無刺激細胞のタンパク質修飾に当初想定した差が出ず、検討が長引き、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroの実験としては、タンパク質修飾(アセチル化)の程度に良好な差が認められる細胞刺激条件を決定し、LPS刺激条件下においてsirtuinによって制御される炎症応答関連分子を解析する。また、敗血症動物モデルを作成し、sirtuin阻害剤や活性化剤が病態に与える影響を解析する。さらに、実際に生体内でのsirtuinの発現・活性化を解析する。また、sirtuinによって脱アセチル化により制御されるタンパク質を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、sirtuinの阻害剤、あるいは活性化剤存在下にLPSで刺激したマクロファージ系細胞株におけるアセチル化タンパク質の変動をプロテインアレイ、あるいはLC-MSによって網羅的に解析する予定であった。しかし、その条件検討の過程でLPS刺激細胞と無刺激細胞のタンパク質修飾に当初想定した差が出ず、検討が長引き、進捗が遅れている。進捗に合わせて使用した結果、アレイ等に使用する予定であった額が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
LPS刺激したマクロファージ系細胞において、sirtuinにより制御を受けるアセチル化タンパク質を解析する(プロテインアレイ、あるいはLC-MS)ために使用する。また、敗血症モデルマウスにおけるsirtuinの発現の変動や活性を解析する予定であり、実験動物の購入費用として使用する。
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