研究課題/領域番号 |
24590537
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
川原 一芳 関東学院大学, 理工学部, 教授 (20195126)
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研究分担者 |
尾之上 さくら 関東学院大学, 理工学部, 講師 (60214194)
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キーワード | 自然免疫 / 糖脂質 / ペプチドグリカン / 乳酸菌 |
研究概要 |
本研究では、乳酸菌のペプチドグリカン(PG)及びグリセロ糖脂質(GGL)の化学的性状を詳細に調べ、乳酸菌が示す穏やかな免疫活性化能とそれらの菌体成分との関わりを明らかにすることを目的としている。平成25年度は、前年度に確立した方法を用いて乳酸球菌であるEnterococcus faeciumのGGLの単離精製と構造決定を行った。本菌は2種類のGGLを有しているが、このうち陰イオン交換樹脂に非吸着のGGLは、質量分析とメチル化分析の結果、Glc-(1-2)-Glc-DAG(DAG:ジアシルグリセロール)であることが明らかになった。このGGLでは、Lactobacillus brevis GGLではGalであった非還元末端の糖がGlcに置き換わっていることがわかった。脂肪酸組成はL. brevis GGLと同様であり、二種類のC18:1(オレイン酸、シスバクセン酸)とラクトバシル酸を主成分とすることが示された。 L. brevis PGの免疫活性については、NOD2を介する自然免疫系の応答を調べる目的で、ヒト歯肉扁平上皮癌由来細胞株を用いて、beta-defensin 2の誘導活性を調べた。不溶性のPG、リゾチーム可溶化PG、及びそれをさらに弱アルカリ加水分解したPGについて調べたところ、不溶性PGに比べて、可溶性PGがより強い誘導活性を示すことがわかった。また弱アルカリ処理PGでは、非処理PGに比べてさらに活性が上昇するという結果が得られた。 GGLが示すNKT細胞活性化能については、CD1d発現細胞とVa14iNKT cellsを用いて、培養上清に産生されるIL-2をELISAで測定する方法を確立した。陽性コントロールにはalpha-GalCerと肺炎球菌のGGLを使用した。これまでのところ、乳酸菌GGLの活性は肺炎球菌GGLと比べて低いことを示唆するデータが得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度に予定していた研究のうち、乳酸菌のグリセロ糖脂質(GGL)の化学性状に関する研究はE. faeciumのGGLについて進展したものの、不十分なものであった。その原因の1つは、化学構造解析に使用することを予定していた核磁気共鳴スペクトル装置の整備が遅れ、使用できなかったためである。平成26年度はこの装置が使用可能になったため遅れを取り戻せると考えている。GGLとペプチドグリカン(PG)の免疫活性の測定については、研究協力者の協力を得て、これまでにアッセイ系の確立をすることができた。従って平成26年度には、他の菌のGGLやPGとの比較データを得ることができると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
乳酸菌のグリセロ糖脂質(GGL)については、E. faeciumの未知のGGL、および他の乳酸球菌であるLactococcus lactisのGGLについて、質量分析及び核磁気共鳴スペクトル装置を用いて化学構造を明らかにする。これらのGGLについて、NKT細胞活性化能をIL-2産生量として測定し、活性を有することが知られているalpha-GalCerあるいは肺炎球菌GGLと比較する。またPGについては、リゾチーム可溶化PGが示す活性が他の菌のPGと比べどのような特徴があるかを解析していく。これにより、乳酸菌のGGLとPGが示す自然免疫活性の特徴を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に実施したペプチドグリカンの活性測定は一種類の乳酸菌PGのみであったが、平成26年度はこれを複数の乳酸菌PGに拡大して実施したいと考えている。このため、平成25年度の物品費の一部を平成26年度に移し使用することで、活発に研究を進める計画である。 平成26年度に移した額は物品費として、ペプチドグリカンの免疫活性測定に必要となる細胞用培地及び培養器の購入に充てる予定である。
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