研究実績の概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC)はHUSの原因となる2種類の毒素(Stx1と2)を産生する。しかしワクチン開発は成功していない。我々は両毒素に対する経鼻投与ワクチン及び抗体治療薬の作成を試みてきた。その結果Stx2中和抗体を誘導するStx2B-Hisの作成と抗Stx2B-His抗体がStx1と2を交差性に中和すること(Vaccine,24:3591,2006、26:469,2008、26:2092.2008)、経口治療薬の可能性のあるStx1,2の中和ニワトリIgY作成(PLos One,e26526,2011、MI印刷中2015)、抗Stx1ヒトモノクローナル抗体(MAb)作成(Vaccin,29:5340,2011)、大量Stx2精製(PLos One,e83557, 2013)に成功した。そこで今回これらの経験の基、HUS の主な原因毒素Stx2を中和するヒトMAbを作製し、HUS治療薬としての臨床応用を目的とした。 そこで以下の3項目の研究計画を遂行した。 ①Stx1,2の交差性中和抗体を産生するStxB誘導体の作成と交差中和抗体に成功した。 ②自己免疫疾患マウスを用いStx1,2を交差性に中和する抗Stx2B MAbの分離を試みた。その結果、Stx1または2のどちらか一方を強力に中和するが、他方の毒素に関しては中和能力が弱い2種のMAbの分離に成功した。これらのMAbは毒素の受容体結合部位、特にStx2の受容体へのStx2の結合を阻害した。③抗体工学によりマウスMAbをマウス/ヒトキメラ及びヒト型抗体へ変換は、現在も本学総合医科学研究所の黒澤教授との共同実験で行っているが、結果はまだ出ていない。
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