比較ゲノム実験で過去に同定された遺伝子群の中に、緑膿菌のIII型エフェクター exoS遺伝子さらにIV型線毛PilAを合成する遺伝子が含まれていたことから、これらの遺伝子に着目し、緑膿菌の組織上皮透過との関連について調べた。その結果、線毛タンパク質PilAがCa2+イオン調節因子CAMLGと結合することで宿主細胞内Ca2+濃度の上昇を引き起こし、さらに、ExoS が上皮細胞内で宿主因子KIF7と結合することで細胞傷害を誘導することが明らかとなった。以上の結果から、緑膿菌の組織上皮を経由した内因性血液感染メカニズムの一部を新たに解明できたと考えられる。
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