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2014 年度 実績報告書

O157ゲノムからのIS切り出しを促進する新規タンパク質IEEの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24590543
研究機関独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

楠本 正博  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所 細菌・寄生虫研究領域, 主任研究員 (40548210)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード腸管出血性大腸菌 / O157 / IEE / integrative element / 切り出し
研究実績の概要

IEEは腸管出血性大腸菌(EHEC)においてISの切り出しおよびISを介したゲノムの多様化に関与する因子であり、その生物学的な機能や活性の種類の解明に向けて、以下のような解析を行った。
1. 昨年度までのDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析により、EHEC O157のiee遺伝子欠失株においてIEEを過剰発現させると、DNA複製に関与する一本鎖DNA結合タンパク質(ssb)やdinI、recN、recAなどDNAダメージ応答に関与する遺伝子の発現が増加した。そこで、リアルタイムRT-PCRを用いてこれらの遺伝子の発現を詳細に解析したが、IEEによる顕著な遺伝子発現の誘導は観察できなかった。
2. 昨年度の検討により、毒素原生大腸菌(ETEC)の一部が系統特異的にiee遺伝子を保有し、本遺伝子周辺の構造はEHECが保有する約90 kbのintegrative element SpLE1と極めて類似していることが明らかになった。また、多くのプロファージはintegrase(int)遺伝子の下流にexcisionase(xis)遺伝子を持ち、excisionaseがプロファージの切り出しに関与するが、本SpLE1様エレメントではint遺伝子の下流に(xis遺伝子とは長さも配列も大きく異なる)iee遺伝子が存在していた。そこで、SpLE1の両末端に分断したアンピシリン(Ap)耐性遺伝子を挿入したO157変異株を作製し、SpLE1の切り出し頻度を測定した。すなわち、本変異株においてSpLE1の切り出しが起こると、分断したAp耐性遺伝子が野生型に戻り菌がAp耐性に変化するため、Ap耐性菌の出現率がSpLE1の切り出し頻度となる。その結果、SpLE1 integraseおよびIEEの共発現により、SpLE1の切り出し頻度が大きく上昇した。
以上の検討により、iee遺伝子を含むintegrative element SpLE1は可動性であり、IEEはDNAに対する作用機序が異なるIS転移酵素およびSpLE1 integraseのそれぞれと協働することで、ISおよびSpLE1両方の切り出しに関与することが明らかになった(論文投稿準備中)。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 豚由来病原性大腸菌の進化系統と保有遺伝子の多様性2015

    • 著者名/発表者名
      楠本正博
    • 学会等名
      平成26年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター(岡山市)
    • 年月日
      2015-02-13 – 2015-02-15
    • 招待講演
  • [学会発表] ブタから分離された毒素原性大腸菌が保有する腸管出血性大腸菌プロファージ様エレメントの解析2014

    • 著者名/発表者名
      楠本正博, 深水大, 小椋義俊, 吉田英二, 山本史子, 岩田剛敏, 大岡唯祐, 秋庭正人, 林哲也
    • 学会等名
      第157回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-12
  • [学会発表] IEEはプロファージ様エレメントSpLE1の転移にも関与する2014

    • 著者名/発表者名
      楠本正博, 小椋義俊, 大岡唯祐, 李謙一, 岩田剛敏, 秋庭正人, 林哲也
    • 学会等名
      第18回腸管出血性大腸菌感染症研究会
    • 発表場所
      同志社大学(京都市)
    • 年月日
      2014-07-15 – 2014-07-16

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公開日: 2016-06-01  

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