研究課題
日本由来のらい菌のゲノム解析を行っている。特にらい菌感染により発症するハンセン病には2病型があり多菌型と少菌型に分かれるが、これらの病型をもたらす菌側の要因を発見することが大きな目的の1つであるが、少菌型ハンセン病患者由来らい菌ゲノムシーケンスは困難を極め、ごく微量のシーケンスデータしか得られていない。しかし、多菌型由来らい菌ではこれまで十分なデータ解析ができた。すなわち、日本の多菌型ハンセン病患者由来のらい菌Kyoto-2株のホールゲノムシーケンスを決定し、ゲノムデータバンクに登録した。すでに登録されているらい菌TN株とBr4923株との比較解析を行い、Kyoto-2株に特徴的なSNPs情報を得た。中でもKyoto-2のJK2ML_0411(TN株でML0411)という遺伝子にはSNPsが合計6つ存在すること、そのパターンがKyoto-2のみならず日本の本州および韓国で分離されたらい菌では同じパターンを示すこと、他のゲノムタイピングとの連動していることからこれららい菌は北東アジアに一定のタイプがあることを明らかとして来た。多くのらい菌分離株や臨床検体を用いてこれまでに解析したSNPsタイピングとこれまで確立されよく知られたいくつかのゲノタイピングツールとの比較を行い疫学および進化学的解析を行う。また、多菌型患者由来株としてKyoto-2株に加えてHoshizuka-4株、Ryukyu-6株、Tahi-53株について実施しているがこれらを含めたSNPs比較解析を行っている。少菌型患者由来らい菌株のゲノム解析は大変困難であり、これまでとは異なる少菌型患者由来試料を用いてさらに高性能の最新型ゲノムシーケンスマシン(業者委託シーケンス)で再挑戦する予定である。
2: おおむね順調に進展している
日本の多菌型ハンセン病患者由来のらい菌Kyoto-2株のホールゲノムシーケンスを決定し、ゲノムデータバンクに登録した。他の日本の多菌型患者由来株についてもホールゲノム解析を実施している。その結果かららい菌の疫学に重要な新しいゲノタイピングを可能とするようなSNPsパターンを発見した。
多菌型患者由来株ではKyoto-2株、Hoshizuka-4株、Ryukyu-6株、Tahi-53株についてSNPs比較解析を行い疫学および進化学的解析を行う。少菌型患者由来らい菌株のゲノム解析は新たな試料を用いて最新型ゲノムシーケンスマシン(業者委託シーケンス)で再挑戦する。
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Infection, Genetics and Evolution
巻: 19 ページ: 200-204
10.1016/j.meegid.2013.07.014