研究課題
ウイルス発がんはヒトがんの約2割に相当することが知られている。ヘルペスウイルスであるEpstein-Barrウイルス(EBV)は全世界人口の約9割に感染しており、リンパ腫や上皮がんといったがん形成に関与していることが明らかとなっている。EBVにコードされるLatent membrane protein-1 (LMP1)はEBV遺伝子産物の中で、唯一発がん活性が個体レベルで認められるが、その発がん分子メカニズムはいまだ明らかとなっていない。そこで、本研究計画で平成26年度は、平成24年度に作製されたB細胞特異的にLMP1とLMP2aを発現するマウスを交配させることによってLMP1/2aマウスを樹立し、その発がん過程を検討した。LMP1/2aマウスは正常に発生し、何ら発がん兆候は認められなかった。しかしながら、抗体投与によるT細胞、及びNK細胞除去により、投与後8日目にB細胞増殖による脾臓腫大と肝臓への異形化B細胞の転移が認められた。LMP2aは主にAktを活性化することが知られていることから、恒常的活性化型Aktを発現するマウスにLMP1を導入したところ、LMP1/2aマウスと同様な異常B細胞増殖が認められた。現在、LMP1の下流であるNFkBの関与を検討中であるが、少なくともEBVの発がん過程にはT細胞やNK細胞による細胞増殖制御が関与しており、その破綻がリンパ腫等の発がんを誘導する可能性が示唆された。
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J Neuroinflammation
巻: 11 ページ: 179-186