Epstein-Barrウイルス(EBV)は全世界人口の約9割に感染し、発がんへの関与が示唆されている。EBV遺伝子産物であるLMPは発がん活性が認められているが、その発がん分子メカニズムは未だ明らかとなっていない。そこで本研究では、EBVによる細胞形質転換機構を明らかにするために、B細胞特異的なLMP1、LMP2a同時発現マウスを樹立し、その発がん過程を検討した。その結果、このマウスにおけるT細胞の除去により、異形B細胞の異常増殖による脾臓腫大が認められた。EBV発がん過程はT細胞によるB細胞異常増殖の制御機構が存在しており、その破綻が発がんを誘導する可能性を示唆している。
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