これまでの実験で、ポリメラーゼ活性が高いRNAポリメラーゼ複合体では、遺伝子複製時の変異率が高いことがわかっている。平成24年度に、ウイルスRNAポリメラーゼ複合体のin vitro発現と活性測定の系を用いて、ウイルスポリメラーゼの活性が高くなるウイルス側遺伝子の変異を新しく同定し、平成25年度に、Journal of Basic and Applied Sciences. 2014; 10:1-6. に公表した。 平成25年度内には、引き続き、ウイルスポリメラーゼに結合する宿主側蛋白質の同定を進める予定であったが、併行して行っていた『生体を用いた変異ウイルスの出現調査実験』において、由来を一にするウイルス株であっても、ストレス条件下において、変異株を出現しやすい子孫株と出現し難い子孫株を生むことが判明した(Int J Clin Exp Pathol. 2012;5(8):787-95.)。そのため、迅速な宿主適応に関するウイルスのアミノ酸変異が、ウイルス側の要因に大きく影響されている可能性が考えられた。したがって、次世代型シークエンサーを用いて、ウイルス株内での遺伝子集団を解析した。
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