HTLV-1のマイナス鎖にコードされるウイルス遺伝子HTLV-1 bZIP factor(HBZ)のHTLV-1関連脊髄症(HAM)病態形成における意義を明らかにするため、昨年度までに各種抗HBZモノクローナル抗体を作製した。これらの抗HBZモノクローナル抗体を用いて様々な組み合わせで検討し改良を重ねた結果、(1)フローサイトメトリー(2) 蛍光免疫染色(間接法)(3) ウエスタンブロッティング(4) サンドイッチELISAによるHBZ蛋白質の高感度な検出系を確立した(特許申請中)。今年度は、HTLV-1感染者の血漿中に存在する抗HBZ抗体を特異的かつ鋭敏に検出するELISAの構築を行った。その結果、ATL患者のみならず、一部のHAM患者および無症候性キャリアーの血漿中にも抗HBZ抗体が存在することを明らかにした。一方、免疫不全マウスにHTLV-1非感染正常成人の末梢血単核球(PBMC)とマイトマイシン処理したHTLV-1感染細胞株を混合して脾臓内に直接接種する独自のHTLV-1感染ヒト化マウスモデル系を用いて、接種前後にHTLV-1中和抗Env gp46単クローン抗体またはHAM患者から精製したIgGを投与することで、マウス体内におけるヒトT細胞へのHTLV-1感染が完全に抑制されることを明らかにした。
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