研究課題/領域番号 |
24590558
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
百瀬 文隆 北里大学, 大学院感染制御科学府, 講師 (90332204)
|
キーワード | インフルエンザウイルス / RNP複合体 / 極性輸送 / Rab11 / ゲノム集合 |
研究概要 |
本申請研究では、インフルエンザウイルスの子孫分節化RNAゲノム-タンパク質複合体(vRNP)8本の集合と極性輸送について、in situ Proximity Ligation Assay (PLA)を応用し特定vRNP分節同士の近接/相互作用を検証することにより明らかにする。最終的に子孫vRNPの集合様式を決定し、どの輸送素過程で8分節vRNPが集合し超複合体を形成するのか解明を目指す。 報告年度においては、前年度に構築したvRNP分節近接頻度検出系の最適化を進めると共に、これを用いて感染細胞における8分節の相対近接頻度を実際に測定した。現時点で2株の測定を終了し、次のような結果が得られている。(1)異なる2分節同士の近接頻度を全56組み合わせで独立して3回測定したところ、高頻度で近接している分節ペアと比較的低頻度のペアが再現性良く存在した。(2)異なる亜型のウイルス(H1N1およびH3N2)を用い特定の分節ペアの近接頻度を比較すると、全体としての傾向は似ており近接頻度が高い組み合わせは他亜型株でも相対的に高かった。ただし数値としては違いが大きかった。(3)得られたすべての2分節間近接頻度を基に、計算機演算によりvRNP分節の相対配置を推定したところ、2株どちらも共通して特定の相対配置を取ることが判明した。ウイルス株によって分節同士の近接頻度すなわち相互作用の程度は異なるが、どの分節同士が近接するかについてはA型インフルエンザウイルス間、少なくとも検定した2株間で同一である可能性が高い。分節集合様式が同一であることが、株間でのゲノム分節可換性の一因である可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では報告年度および最終年度において「全分節にわたる相互位置関係の検証」を行なう予定であった。初年度に当初予定よりも早く研究が進捗したため、報告年度までに仮の8分節相対配置を決定することができた。当初計画通り、得られた相対配置の検証作業を次年度(最終年度)に行なうことが可能である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度(最終年度)の研究実施計画 当初の計画通り「極性輸送素過程ごとの分節集合比率の算出」を行い、「Rab11-FIP3/4依存的なアピカル面への微小管輸送」および「微小管末端から形質膜到達までの分子機構」の解析を通じて分節集合がどの素過程で行なわれるのかを決定する。また「分節集合シグナルに変異を有する人工vRNPの作製と分節集合の変化」を組換えウイルスの作成と復帰変異の検証を基にして行なう。
|