研究課題
ロタウイルスのリバースジェネティクス系は、ヘルパーウイルスを必要とするため、組換えウイルスを単離するための選択条件が必要であり、その条件が確立されているのは、11本のセグメントのうちVP4、NSP2、NSP3の3本に過ぎない。今年度は、残る8本のセグメントについても組換えウイルスを単離するための選択条件を開発し、ロタウイルスにおけるリバースジェネティクス系を発展させることを目的とした。ヒトKU株の限界希釈から分離したKU-24株のセグメント11は3塩基欠失(Δ423-425)を起こしており、ロタウイルス株間で極めて高度に保存されているNSP5上のE135を欠失していた。KU-24株は野生型KU株と同程度の増殖能を示したが、ウイルス粒子へのパッケージング効率は、変異型セグメント11<野生型セグメント11であることが競合感染実験により示された。KU-24株の2つのリバータントウイルスはともに423-425位置に遺伝子配列の挿入を有することから、この領域のシーケンスがセグメント11のパッケージングに重要なシグナルを含んでいる可能性が示された。リバースジェネティクス系の開発においては、野生型セグメント11をコードするプラス鎖RNA発現プラスミド(T7プラスミド)とともに、KU-24株をヘルパーウイルスとして利用することで、パッケージング効率の違いを選択条件としたNSP5/6遺伝子を標的とするリバースジェネティクス系の開発につながるものと期待される。研究期間全体では、現在のヘルパーウイルスを用いるリバースジェネティクス系をVP4遺伝子に応用し、VP4の限定切断によるウイルス感染性の獲得機構を解析するとともに、このシステムをNSP5/6遺伝子に応用するため、ヘルパーウイルスとしてのKU-24株を分離した。一方で、ヘルパーウイルスを必要としないシステムの開発に向け、これまで報告されていない、T7 RNAポリメラーゼ発現プラスミドを用いたレオウイルスのリバースジェネティクス系を確立した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
PLoS ONE
巻: 10 ページ: e0124965
10.1371/journal.pone.0124965
日本ウイルス学会誌
巻: 64 ページ: 179-190
Vet Microbiol
巻: 174 ページ: 577-583
10.1016/j.vetmic.2014.09.033
Infect Genet Evol
巻: 27 ページ: 277-293
10.1016/j.meegid.2014.08.002