研究課題/領域番号 |
24590563
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
鈴木 亮介 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (50342902)
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研究分担者 |
黒田 俊一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (60263406)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | B型肝炎ウイルス / 細胞表面蛋白質 |
研究実績の概要 |
組換え酵母を用いてB型肝炎ウイルス(HBV)のL蛋白質を発現させ、組換えHBV粒子を精製した。様々な細胞株について、この粒子の結合をフローサイトメーターを用いて定量的に解析し、ウイルス粒子が最も良く結合する細胞とほとんど結合しないヒト由来細胞株を見いだした。次にウイルス粒子が結合する細胞と結合しない細胞を、異なる安定同位体標識アミノ酸含有培地で培養した後に細胞表面蛋白質をビオチン標識し、精製を行った。さらに質量分析法を用い、発現レベルの異なる細胞表面蛋白質を同定した。同定された蛋白質に対するsiRNAを、ウイルス粒子が結合する細胞に導入し、ウイルス粒子の結合を減弱させる遺伝子を同定した。同定した蛋白質をほとんど発現していない細胞に、この蛋白質を発現させると、組換えHBV粒子が結合した。さらにヒトHBVキャリアの血清より精製したHBs粒子の細胞表面への結合も、同定した分子を介している事を示唆するデータが得られた。同定された分子のHBV感染過程への関与を明らかにするため、Sodium taurocholate cotransporting polypeptide (NTCP)発現HepG2細胞の同定分子をノックダウンさせたが、HBVの感染抑制は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はウイルス粒子の結合に関わる宿主因子の同定に成功した。結合は、酵母由来の組換え粒子だけでなく、ヒト血清由来のHBs粒子においても認められた。しかしながら、この分子のHBV生活環における役割は、未だ明らかにできていない。
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今後の研究の推進方策 |
HBs粒子の細胞表面への結合に関与すると考えられる宿主因子の同定に成功した事から、今後はこの分子のウイルス感染、その他のHBV生活環への関与を明らかにする。具体的には、HBV感染感受性培養細胞を用い、同定分子のノックアウト細胞を樹立し、感染実験を行う。また、マクロファージ等の免疫細胞にHBs粒子が影響するという報告がある事から、それらの細胞を用いた解析についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが平成27年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成26年度分についてはほぼ使用済みである。
また研究の進展にともない、当初同定した宿主因子のウイルス生活環への関わりを、siRNAによるノックダウン法で検証したが、十分なノックダウン効果が得られず、それ以降の解析が行う事が出来なかった為。
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次年度使用額の使用計画 |
物品(ウシ胎児血清、培養液、各種抗体、PCR 試薬、ELISA 関連試薬、電気泳動関係、ノックダウンベクター、トランスフェクション試薬)、プラスチック器具類(細胞培養容器、ピペット類、手袋等)、国内旅費、人件費、謝金、その他
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