研究課題/領域番号 |
24590564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
高崎 智彦 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (20221351)
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研究分担者 |
松谷 隆治 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70372290)
鈴木 隆二 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 臨床研究センター, 室長 (70373470)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 輸入感染症 / 蚊媒介性ウイルス / 霊長類モデル |
研究概要 |
チクングニア熱の霊長類モデルとして、発熱・関節痛・血小板減少などヒトに類似の症状をきたすデング熱のデングウイルス感染霊長類モデルとして注目されているコモンマーモセット(Callithrix jacchus)を用いチクングニアウイルス感染実験を行ったところ、感染が成立しウイルス血症を来たすこと、わずかであるが発熱を来たす個体がいたことを確認したが、関節炎などヒトに類似した症状は来たさなかった。そのためコモンマーモセットのサイトカイン、T細胞レセプターなどの免疫学的遺伝子発現のRNA遺伝子レベルでの発現量測定法を開発するため、多種類の組織におけるハウスキーピング遺伝子を選定し、定量リアルタイムPCR法を開発した。チクングニアウイルス感染マーモセットによりヒトの病態に近い症状、特に関節炎を引き起こさせるため、in vitroでまずウイルス標的細胞に対する感染効率を高める方法を検討した。チクングニアウイルスの標的細胞であるマクロファージに発現するC型レクチンは、ウイルスの感染効率を高める分子として報告されている。そこでチクングニアウイルスのエンベロープ蛋白質を被ったシュードタイプ水疱性口内炎ウイルスを作成し、チクングニアウイルスのC型レクチン介在性細胞侵入機構を解析した。本研究では、これまで報告のあったDC-DIGN、DC-SIGNRに加え、LSECtinがチクングニアウイルスの細胞侵入に関与する可能性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
チクングニアウイルスが新世界ザルであるコモンマーモセットに感染するかどうかを、確認する実験をパイロット的に実施し、感染の成立とウイルス血症を来たすことを確認した。しかし、当該P3動物実験施設に不具合が発生し、修理が必要となりマーモセットを用いた実験は続行できなくなった。 そのためチクングニアウイルス感染マーモセットによりヒトの病態に近い症状、特に関節炎を引き起こさせるため、C型レクチンに着目してin vitroでまずウイルス標的細胞に対する感染効率を高める方法を検討した。 また、チクングニアウイルスはBSL3に規定されるウイルスであるが、チクングニアウイルスに近縁なオーストラリアのロスリバーウイルスはBSL2に規定されるウイルスである。ロスリバーウイルスはチクングニアウイルスに比べてヒトに対する病原性は低いが、関節炎に関しては同等の症状をきたす。そこで我々は手続きを踏んでBSLレベルの一段低い霊長類実験施設で実験可能なロスリバーウイルスを4株入手した。そしてVero細胞およびヒトスジシマカ由来のC6/36細胞を用いて増殖させマーモセットの感染実験用攻撃ロスリバーウイルスを準備した。
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今後の研究の推進方策 |
チクングニアウイルスあるいはロスリバーウイルスをマーモセットに皮下接種(下肢)する。接種ウイルス量を3段階にわけて感染成立ドーズを検討する。各個体にテレメトリーを装着し体温、活動性をPCにてモニターし、発熱・発疹・関節炎の有無、白血球低下や血小板低下の有無、肝機能や腎機能障害などを確認しつつウイルス血症の高さおよび期間と接種ウイルス量との関係を同定する。 ウイルスを接種したマーモセットは、経日的に剖検し臓器におけるウイルス量および肝臓、腎臓、脾臓、リンパ節、骨髄、関節などの病理組織学的検討を行う。特に免疫染色によりウイルス抗原蛋白の有無や局在について検討する。免疫染色に用いる抗体は抗チクングニアウイルスポリクローナルウイルスおよび抗アルファウイルス属共通単クローン抗体などを検討する。また、ウイルス遺伝子、ウイルス抗原陽性の組織細胞においてはC型レクチンの局在について免疫学的に、非感染組織細胞と比較検討する。 特に関節に関しては、関節炎の有無にかかわらずウイルスRNA遺伝子のみならず関節液および滑膜の免疫学的遺伝子発現を平成12年度に確立した方法により、RNA遺伝子レベルで測定し、血清中の免疫学的遺伝子RNA発現量と比較検討する。また関節包、滑膜についてはウイルス遺伝子の存在に加えて病理学的かつ免疫学的に検討する。 チクングニアウイルスを用いるかロスリバーウイルスを用いるかは、施設の状況に応じて決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マーモセットは過去に別の実験に使用したものを使用するため購入費は0円である。(1)PCR用試薬、プライマー合成費、(2)抗ウイルス抗体作製費、(3)病理標本作製費、(4)体温モニター用テレメトリー端子の洗浄滅菌処理費用、(5)細胞培養用試薬・消耗品、(6)印刷費に使用する。
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