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2012 年度 実施状況報告書

マイクロRNAによるウイルス複製と脂肪酸合成経路のクロストーク制御の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 24590565
研究種目

基盤研究(C)

研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

棟方 翼  公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (50420237)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードmiRNA / 脂肪酸合成酵素 / C型肝炎ウイルス
研究概要

マイクロRNA(miRNA)による遺伝子発現制御が宿主細胞のみならずウイルスでも存在することは報告されている。今回我々の解析により、C型肝炎ウイルス(HCV)増殖を抑制するmiR-199aが、宿主の脂肪酸合成酵素(FASN)の発現も直接抑制していることが判明した。HCVはFASNの発現を転写レベルで高めるが、一方でFASNはHCV複製に必要である為、両者の制御にクロストークが存在することは示唆されていた。しかし、同一のmiRNAがウイルス遺伝子と宿主遺伝子の双方の発現を制御するクロストークの要であることは新発見であり、その分子機構の解明は必須である。
miR-199aは、前駆体であるプレmiRNAのプロセシングで、miR-199a-5pとmiR-199a-3pの二種の異なるmiRNAとして発現する。当該年度の研究により、miR-199a-5pとmiR-199a-3pは共にFASN蛋白質の発現を抑制して、肝細胞内の中性脂肪の量を減少させることを我々は見出した。しかし、更に詳細にmiRNAの効果を解析するために行ったレポーター・アッセイから、miR-199a-3pだけがFASNの3'UTR中の標的配列に直接作用することが判明した。miR-199a-5pは間接的にFASNの発現に影響を与えていると推測できる。また、HCVレプリコン細胞を用いた解析から、HCV複製依存にmiR-199a-5pは発現量が増加するが、miR-199a-3pは発現量が低下することも発見した。今後はHCV感染細胞と動物モデルを利用して、miR-199aとFASNとHCVの相互関係を明らかにしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画段階の予備的なデータでmiR-199aがFASNとHCVの双方の発現制御を同時に行っていることは示唆されていたが、当該年度の研究により、miR-199a-3pがFASNとHCVを制御していることが明確になった。また、予期せぬ結果としては、同じ前駆体から発現するmiR-199a-5pとmiR-199a-3pの量を比較したところ、後者の方が圧倒的に多く存在することが判明した。どのようにしてこの差が生じるのか、今後解析を進める予定である。miR-199a-3pの標的の優先順位を知るための、mRNA/miRNA複合体沈降解析の準備は、Ago2に対する抗体等、既に整っている。動物モデルを使用した解析だけまだ進んでいないが、元々25年度から開始する予定であったので、研究計画が遅れているとは言えない。

今後の研究の推進方策

「マイクロRNAによるウイルス複製と脂肪酸合成経路のクロストーク制御の分子機構」の研究を行う上で、
1. ウイルス複製と脂肪酸合成経路を標的とするマイクロRNA(miRNA)の作用機序の解明
2. ウイルス複製と脂肪酸合成経路のmiRNA標的部位の階層性と優先性の検討
3. ウイルス複製と脂肪酸合成経路を制御するmiRNAによる病原性発現機構の解明
の三点に大きく分けて、試験管内再構成系、培養細胞系とモデル動物系の各レベルの実験を駆使して研究を進める。
特に次年度以降は、HCV病態動物モデルを用いた解析を進める。特に、ハイドロダイナミック・テイルベイン(HDTV)法でレポーター・ベクターやmiRNA発現ベクターをマウスの肝臓に導入した系を利用して、miR-199a-3pのin vivoでの機能を明らかにしていく。

次年度の研究費の使用計画

次年度以降の動物モデル解析で使用する試薬を予め当該年度に購入しておく予定であったが、in vitro解析の結果を精査してから必要となる試薬を厳選することにした結果、次年度に使用する予定の研究費が新たに生じた。特に、in vivo解析で使用するmiRNAとしてmiR-199a-3pに焦点を当てて、LNA (Locked Nucleic Acid) 等の試薬を購入する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] C型肝炎ウイルス感染時にToll-like receptor 3の発現はRb/E2F経路で制御される2012

    • 著者名/発表者名
      棟方 翼、脇田 隆字、野本 明男、小原 道法
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場、大阪
    • 年月日
      20121113-20121115
  • [学会発表] 新世代抗体医薬としての特殊環状ペプチドによるインフルエンザウイルス増殖阻害効果2012

    • 著者名/発表者名
      齊藤 誠、飛田 良美、棟方 翼、伊東 利紗、菅 裕明、佐々木 亨、窪田 規一、安井 文彦、小澤 真、小原 恭子、小原 道法
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場、大阪
    • 年月日
      20121113-20121115
  • [学会発表] HEPATIC TOLL-LIKE RECEPTOR 3 INDUCED BY E2F1 CONTROLS HEPATITIS C VIRAL REPLICATION.2012

    • 著者名/発表者名
      Tsubasa Munakata, Akio Nomoto, and Michinori Kohara
    • 学会等名
      The 19th International Symposium on Hepatitis C Virus and Related Viruses.
    • 発表場所
      Venice, Italy
    • 年月日
      20121005-20121009
  • [学会発表] Hepatic Fatty acid synthase and Toll-like receptor 3 induced by E2F1 control hepatitis C viral replication.

    • 著者名/発表者名
      Tsubasa Munakata
    • 学会等名
      3rd Igakuken International Symposium on Control of Influenza and Hepatitis.
    • 発表場所
      Tokyo, Japan
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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