研究課題/領域番号 |
24590566
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村田 貴之 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30470165)
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キーワード | 再活性化 |
研究概要 |
本研究では、EBウイルス再活性化の分子メカニズムの解析を目的としている。 EBウイルスの再活性化はウイルスの前初期遺伝子であるBZLF1の発現によって制御されている。さらにBZLF1の発現は転写のレベルで厳密に制御されている。そこで、本研究ではBZLF1プロモーターを活性化しうる転写因子を、ライブラリスクリーニングによって網羅的に探索した。再活性化を制御するものとして得られたクローンについて、基本性状を確認した。偽陽性をのぞくと、得られたクローンはすべて転写因子をコードしていた。 これらの転写因子のBZLF1プロモーター上での機能的結合サイトを同定した上で、その結合部位に点変異を導入した組み換えウイルスを作製し、その挙動を観察した。特に、Myocyte enhancer factor-2 (MEF2) と呼ばれる転写因子のファミリーが、EBVの再活性化に最も強くはたらいており、ほかにもSp1やATF, CREB, XBP1sなどの宿主b-Zip型転写因子の重要性を示した。また、これらの変異ウイルスにおいては、BZLF1のみならず、隣接するもうひとつの前初期遺伝子であるBRLF1の転写も抑制されていた。 さらにこれらの変異株のエピジェネティックスを詳細に解析した結果、MEF2の結合サイト変異株において、ヒストンH3K27me3などの抑制性ヒストン修飾がより増強していた。このことから、少なくともMEF2は、ヒストン修飾を介してBZLF1の転写、すなわちEBウイルスの再活性化を制御していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標であった転写因子の解析、変異ウイルスの解析、さらにエピジェネティックスの解析まで終了しており、よい結果がでているため。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的スクリーニングで得た大部分のクローンについては、すべての解析を終えたが、あと一つ、非常に興味深いクローンの解析が未だ途中になっている。本年度は、このクローンについて、詳細な解析をおこなうものとする。 具体的には、レポーターアッセイ、組み換えウイルス作製、解析、クロマチン免疫沈降法(ChIP)、リアルタイムPCRなどの手法による。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた海外への学会出張を、現地政情不安のため取りやめた。また、順調に実験をおこなうことができたため、試薬や抗体、キットなども節約して使用することができた。 引き続き、組み換えウイルスの作製には長いオリゴヌクレオチドが必要であり、高価なものとなる。また本年度は、血清の購入を予定している。
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