研究課題
申請者は、TRAF5が抗原特異的CD4+ T細胞の活性化において抗炎症的な機能を有することを本研究の開始する前に見出していた。 本研究計画を実施することで、そのメカニズムを明らかにすることができた。すなわち、TRAF5が炎症性サイトカインであるIL-6の受容体シグナル伝達分子gp130と結合することでSTAT3の活性化を阻害する機構を発見した。また、IL-6シグナルに依存して分化するTh17 細胞の産生がTRAF5の欠損により亢進することを明らかにした。さらにこれに対応して、病原性Th17 細胞依存的に発症する実験的自己免疫性脳脊髄炎がTRAF5欠損マウスで増悪することを見出した。Tfh細胞への分化に関して、in vitro における IL-6依存的な Tfh分化はTh17分化と同様にTRAF5の欠損により有意に亢進することを確認できたが、 in vivo 実験において、TRAF5欠損がTfh分化やB細胞胚中心形成に及ぼす影響は検出できなかった。TCR/CD28刺激によりナイーブCD4+ T細胞内のTRAF5の発現量が大きく低下することから、TRAF5とgp130との恒常的な結合はIL-6による初期の分化誘導シグナルを制限する上で重要な役割を果たすことが示唆された。本研究から、新規のT細胞炎症シグナル制御機構を明らかにすることができた。また、TRAF5以外のTRAF分子群のIL-6シグナルへの関与について、IL-6以外のgp130ファミリーサイトカインシグナル制御におけるTRAF分子群の役割について本研究をさらに発展させる意義を見出した。
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