研究課題
ウイルスや細菌など、病原体の感染に際し、病原体由来の核酸は自然免疫受容体によって認識され、免疫応答を強く活性化することが知られている。この応答は感染防御に必須である一方、過度の免疫応答の活性化は、アレルギーや自己免疫疾患などの病態の増悪に寄与すると考えられている。そのため、核酸がどのように認識され、どのような免疫応答を活性化するのか、その詳細を明らかにしていくことはこれら疾患の制御法の確立という観点から重要であると考えられる。我々は、病原体由来核酸を模した核酸アナログを用い、この核酸アナログと結合するタンパクのスクリーニングから、核酸の認識に関与すると思われる候補分子2種類(Nucleic acid sensor 1 (NAS1) 及び NAS2)を同定した。平成24ー25年度において、この2つの分子についてコンディショナルノックアウトマウスを作製し、NAS1 KOマウス由来樹状細胞において、B-DNA刺激、TLR9刺激時のI型IFNやIL-12p40の産生が顕著に減弱することが明らかとなった。平成26年度の解析から、NAS1欠損マウスは、コントロールの野生型マウスと比較し、単純ヘルペスウイルス感染、リステリア感染時の生存率に顕著な低下が認められた。NAS1はこれら病原体の感染防御に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。NAS1は定常状態において核内に局在するタンパクであるが、HSV-1感染時において細胞質に移項しスポット様構造を形成することが分かった。HSV-1の複製に関与しているものと考えられ、NAS1欠損によってウイルスの複製が増強されているものと考えられる。
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Elife
巻: 3 ページ: e04177
doi: 10.7554/eLife.04177
J. Intern. Med.
巻: 276 ページ: 444-453
doi: 10.1111/joim.12285
http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/~mol-immu/