研究課題/領域番号 |
24590575
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
安達 貴弘 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50222625)
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キーワード | B細胞 / 免疫記憶 / 免疫応答 / シグナル伝達 |
研究概要 |
昨年度、Cre/LoxPのDNA組換えシステムを利用して蛍光タンパク質カルシウムバイオセンサーYC3.60をB細胞に特異的に発現させたマウスについて生体イメージングによりカルシウムシグナリングを検出できることを示したが、記憶B細胞の多くはIgGクラスの抗原受容体を持っていることから、IgG1にクラススイッチするとYC3.60を発現するマウスを作製した。その結果、共焦点レーザー顕微鏡観察によりパイエル板などの抹消リンパ組織では胚中心にYC3.60を発現している細胞が多く存在していることが確認された。また骨髄にもYC3.60陽性の形質細胞を検出した。このマウスについても、脾臓での生体イメージングで、カルシウムシグなリングの検出に成功し、記憶B細胞での細胞内シグナリングを生きたマウス個体で見られることを示した。 B細胞についてはさらに解析を進め、生体イメージングによりマウスパイエル板などで細胞の動態と活性化を同時に見ることができるシステムを利用し、カルシウムシグナリングが起こる状況について調べた。B細胞がカルシウムシグナリングを起こす場所を検討したところ、脾臓、パイエル板においてT細胞領域とB細胞領域の境界付近でカルシウムシグナリングを起こしている細胞が多く存在していることが明らかになった。 また、自己免疫疾患と免疫記憶の関連を明らかにすべく、自己免疫疾患モデルマウスであるMRL/lprマウスあるいはlpr/lprマウスとの交配を行い、B細胞特異的にYC3.60を発現する自己免疫疾患モデルマウスを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスの交配が予定通り進まなかったため。またIgE標識マウスが得られなかった。なお、理由は不明である。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムシグナリング可視化マウスを用いて、生体マウスでの免疫記憶における記憶B細胞の動態・活性化を明らかにする。in vitroの記憶B細胞の構築系においてもカルシウムシグナリングを指標として、分化、維持と細胞内シグナリングの関連を解明する。 IgE標識マウスの作製をやり直す。 B細胞可視化自己免疫疾患モデルマウスを用いて、病態の進行とB細胞活性化の関連をマウス個体レベルで明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたマウスが理由不明で得られなかっため、研究計画が遅れた。 本年度中に遅れた計画分の実験を今年度予定のものと合わせて行う。
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