研究課題
これまでにCre/LoxPシステムを利用して細胞系譜特異的にカルシウムバイオセンサーYellow Cameleon (YC)3.60を発現するマウスを樹立し、マウス個体を用いた生体イメージングを行ってきた。CD19-Creマウスと交配してB細胞特異的にYC3.60を発現するマウスを作製した。B細胞特異的YC3.60発現マウスを用いて、YC3.60の発現をB細胞の分化段階で調べた。プレB細胞の段階で発現がみられ、成熟B細胞では約90%の細胞で発現がみられた。B細胞の活性化に伴い胚中心B細胞に分化するとYC3.60の輝度の増強がみられた。また形質細胞に分化すると成熟B細胞の輝度と比べ、約10倍のYC3.60の発現がみられた。オボアルブミンをアジュバントとともに免疫したマウスでは、1-2週間後でもカルシウムシグナルが亢進したB細胞の顕著な増加が見られた。また恒常的に細胞内カルシウム濃度が上昇しているB細胞も見られた。また、マウスB細胞特異的YC3.60発現マウスをSLEの自己免疫疾患モデルマウスとされるMRL/lprマウスに4代戻し交配させたマウスにおいて脾臓を生体イメージングで解析したところ、恒常的に細胞内のカルシウム濃度が上昇している細胞が高頻度で見られ、生理的条件下でB細胞の細胞内シグナルに異常が認められることが明らかになった。この結果、生体イメージングによるカルシウムシグナルのモニターにより自己免疫病態がモニターできることが強く示唆された。
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Sci Rep
巻: 6 ページ: 18738 (1-13)
10.1038/srep18738