研究課題
樹状細胞(dendritic cell: DC) は生体内に侵入してきた病原性微生物を素早く察知して、活性化しサイトカイン産生を駆使して自然免疫を活性化する。また、病原性微生物由来の抗原をT細胞に提示して、獲得免疫を始動させる重要な細胞である。このDCは強力な抗原提示能力を有する従来型DC(conventional DC: cDC)と核酸成分に反応して大量のI型インターフェロンを産生する形質細胞様DC(plasmacytoid DC: pDC)の2つのサブセットに大別される。申請者はこのDCサブセットのみに分化する共通DC前駆細胞(common DC progenitor: CDP)を発見した(Nat. Immunol., 8:1207-1216, 2007)。本研究ではこの成果を発展させ、pDCの分化と維持に必須な転写因子E2-2を発現し、卓越したpDC 分化能を持つ新規CDPを同定した(Immunity, 38: 943-957, 2013)。この結果、これら2つの前駆細胞をまとめてCDPとし、前者をCD115+ CDP、後者をCD115- CDPと提案した。さらにこれらCDPが多能性前駆細胞から直接分化することを明らかにした。これらの研究成果は免疫•造血系における完全なDC分化経路図を加える重要な成果である。また、ヒト臍帯血から新規のミエロイド系前駆細胞と優れたDC分化能を持つ新規の細胞分画を見出した。これらの前駆細胞は造血がヒトに置き換わった免疫系ヒト化マウスの骨髄においても検出された。今後は、さらなる細胞表面マーカーを用いて絞込みを行い、ヒトDC前駆細胞の同定を継続する。
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Nat.Rev. Immunol.
巻: 14 ページ: 571-578
doi: 10.1038/nri3712.
Immunity
巻: 41 ページ: 5-7
doi: 10.1016/j.immuni.2014.07.004.
http://www.tmd.ac.jp/mri/bre/index.html