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2014 年度 実績報告書

T細胞生存を制御するKDEL受容体の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24590583
研究機関北海道大学

研究代表者

上村 大輔  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (20391922)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードT細胞
研究実績の概要

獲得免疫系で中心的な役割を担うT細胞は、体内で一定の数が保たれている。この恒常性の維持には、サイトカインIL-7とT細胞受容体からの生存シグナルが重要であることが知られている。このT細胞恒常性は、効率的な免疫応答を誘導するために重要である。我々は、このT細胞恒常性のメカニズムをより詳細に理解するために、変異剤を用いてマウス個体に突然変異を導入し、ナイーブT細胞数が激減している変異個体(T-Redマウス)を得た。シークエンス解析から、その責任遺伝子は小胞体とゴルジ体で物質の逆輸送に関わるKDEL受容体1 (Kdelr1)であった。
T-Redマウスはコラーゲン誘導性関節炎やリステリア感染などのT細胞依存的免疫応答が有意に低下していた。Kdelr1のT細胞特異的ノックアウトマウスを作成したところ、T-Redマウスと表現型が一致したことから、Kdelr1がその原因遺伝子であると結論した。トランスクリプトーム解析から、T-RedナイーブT細胞では統合ストレス応答(ISR)の標的遺伝子が増加していた。ISRは小胞体ストレス等の細胞性ストレスの総称であり、翻訳開始因子eIF2αのリン酸化を起点として、ストレス応答を誘導する。実際にT-RedナイーブT細胞ではeIF2αのリン酸化が亢進していた。一方で、野生型T細胞においてもある程度のeIF2αのリン酸化が認められ、生体内で一定のストレスを常に受けていることが示唆された。eIF2αのリン酸化を除去する脱リン酸化酵素(PP1)とKdelr1が会合することが明らかになり、この会合がPP1機能を調節している結果を得た。つまり、ナイーブT細胞の恒常性にはストレスを効率的に除去するKdelr1-PP1経路が必要であり、IL-7やTCRからの生存シグナルとISRによるストレスシグナルのバランスがナイーブT細胞の恒常性に重要であることを突き止めた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Temporal expression of growth factors triggered by epiregulin regulates inflammation development.2015

    • 著者名/発表者名
      Harada, M., Kamimura, D., Arima, Y., Kohsaka, H., Nakatsuji, Y., Nishida, M., Atsumi, T., Meng, J., Bando, H., Singh, R., Sabharwal, L., Jiang, J. J., Kumai, N., Miyasaka, N., Sakoda, S., Yamauchi-Takihara, K., Ogura, H., Hirano, T. & Murakami, M.
    • 雑誌名

      J Immunol

      巻: 194 ページ: 1039-1046

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1400562

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The reverse-direction method links mass experimental data to human diseases.2014

    • 著者名/発表者名
      Ogura, H., Atsumi, T., Bando, H., Sabharwal, L., Yamada, M., Jiang, J. J., Nakamura, A., Arima, Y., Kamimura, D. & Murakami, M
    • 雑誌名

      Archivum immunologiae et therapiae experimentalis

      巻: 62 ページ: 41-45

    • DOI

      10.1007/s00005-013-0255-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Gateway Reflex, which is mediated by the inflammation amplifier, directs pathogenic immune cells into the CNS.2014

    • 著者名/発表者名
      Sabharwal, L., Kamimura, D., Meng, J., Bando, H., Ogura, H., Nakayama, C., Jiang, J. J., Kumai, N., Suzuki, H., Atsumi, T., Arima, Y. & Murakami, M.
    • 雑誌名

      Journal of biochemistry

      巻: 156 ページ: 299-304

    • DOI

      10.1093/jb/mvu057

    • 査読あり
  • [学会発表] Characterization of T-Red mutant mouse line having reduced naïve T cells2014

    • 著者名/発表者名
      上村大輔
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会総会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府、京都市)
    • 年月日
      2014-12-10 – 2014-12-12

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公開日: 2016-06-01  

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