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2012 年度 実施状況報告書

院内がん登録データによる青森県がん患者の動態の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24590593
研究種目

基盤研究(C)

研究機関弘前大学

研究代表者

松谷 秀哉  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30241483)

研究分担者 佐々木 賀広  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70178672)
松坂 方士  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70431434)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード院内がん登録 / 地域がん登録 / がん診療 / GIS
研究概要

平成24年度の計画は解析のためのデータ収集と基盤整備である。実際には、院内がん登録や青森県内における受療動向調査のデータなど入手し、これらを解析するためのデータベースやシステム基盤の構築をおこなった。基盤の構築に際しては、初期解析を並行しておこうことにより、データとその解析システムの整合性のチェックをおこなうと共にデータの効率的な利用などについても考慮した。
初期解析の結果は以下の通りである。得られたデータからのがん種ごとの比率は、公表されている地域がん登録の結果と比較した場合、全体的な傾向は同じものとなった。この事からデータの取り扱いにおいては特に問題ないことが確認された。ただし、肝がんと悪性リンパ腫については、異なる値となった。
青森県の2次保健医療圏ごとの人口に対する院内がん登録件数の割合は、最大で約3倍のばらつきがありがある。この要因については採録における問題か、医療供給体制的な問題かについては今後検討する必要がある。
また青森県でのがん拠点病院は1圏域を除き2次保健医療圏に1施設以上が設置されている。受療動向から多くがそれぞれの2次保健医療圏内でがん医療の需要と供給が成立しており、他の圏域へ流れはあまり多くない。ただし、がん拠点病院がない1地域は隣接する圏域の施設への受診となっている。また他県と接する圏域では流入や流出が見られる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成24年度は解析のためのデータ収集と基盤整備である。実際には、ACCESSデータベース等を用いてプロトタイプのデータベースの設計と構築、GISによるデータの可視化・解析や利用についての手法の確立をおこなった。これらの状況は「研究実績の概要」でも述べたように、研究を進めるための解析ができる事を確認するとともに、国立がんセンターなどがこれまで発表したデータや内容などとも概略的には整合性がとれている。この事から、詳細はともかくとして大枠における設計的・基盤的な問題はなく、この点については順調と考える。
一方において遅れている部分もある。それは本研究における骨格ともいえる青森県内における院内がん登録データの集約化の部分である。おもな要因は、本県におけるこの部分を担っている都道府県がん診療連携拠点病院がマンパワーの関係で機能を果たせなかったためである。実はこの事態は当初よりある程度予想されていた。
青森県は残念ながらがん死亡率などが全国の中でもワーストに位置しており、がん対策・医療体制の充実が急務である。この状況から脱却すべく、数年前から県庁を含めた全県体制で整備・充実に取り組んできており、その中で弘前大学は疫学を含むがんの研究とデータなどの集約化の役割を担うこととなった。そして今年の4月に、地域がん登録業務の弘前大学への移管、青森県による寄附講座(「地域がん疫学講座」)の開設、が行われた。なお共同研究者の松坂はこの4月よりこの講座の所属となった。このことにより、本研究を推進する基盤がより強固となり、計画上の遅れを充分に取り戻せるものと考える。

今後の研究の推進方策

今年度の計画はおもに2つである。ひとつは、先に述べた計画の遅れについての対応であり、青森県内における院内がん登録データの収集・集約とシステム基盤の整備である。これは今年度前半における実施を予定している。
もうひとつはこの基盤データを用いたデータ解析であり、今年度の後半での実施を予定している。解析内容としては、病院間における臓器・がん種ごとのがん患者の動態分析と評価(ネットワーク分析などから病院・施設の診療科ごとの連携状況(結びつきの強さ)などを明らかにする)、二次と三次医療施設の診療科ごとの受療動向と医療資源の分析と評価(地域間相互作用モデルによる受療動向の分析と医療資源のバランス、医療圏間での相互作用を明らかにする)、地域住民の生活環境(地域ごとの社会的・経済的状況)の分析と評価(地域間相互作用モデル、クラスター分析や格差指標であるジニ係数などから生活圏、経済状況、地域格差を明らかにする)、である。 これらの各項目はお互いに関連している。そのため、これらの関連性・相関性についてGISにより統合的に分析し問題点の抽出を行う。
ところで青森県では昨年(平成21年)から、がん地域連携パスの作成とその試行をおこなっている。本研究によるがん登録データからのがん患者の動向との比較により、がん地域連携パスの評価と改善点を検討する。特にがん地域連携パスについては、全国的に利用促進が叫ばれながらも利用があまり進んでいない状況であることから、原因や問題点の解明が重要であり、改善点を模索する必要がある。これについては今年度後半以降から次年度での実施を予定している。

次年度の研究費の使用計画

昨年度において、研究費に余りが生じたおもな理由はソフトウェア購入に際してのアカデミックディスカウントによるものである。
本研究は先に述べたように計画の遅れが生じている。そのため、昨年度の余剰経費を資料収集、印刷(紙やトナーなど)などの雑費用として使用して重点的な対応をする予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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