研究課題/領域番号 |
24590595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 拓洋 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50313101)
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研究分担者 |
岩瀬 哲 東京大学, 医科学研究所, 講師 (60372372)
後藤 悌 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20596374)
山本 大悟 関西医科大学, 医学部, 講師 (10340738)
小田桐 弘毅 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60250601)
坪井 正博 横浜市立大学, 大学病院, 准教授 (90297309)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 患者報告にもとづくアウトカム(PRO) / 医療の質 / がん / 有害事象評価 |
研究概要 |
PRO-CTCAE 日本語訳 東北大学/東京大学/JCOG版について、平成23年度から実施したがん患者へのインタビュー調査(乳がん10人、肺がん7人を含む31人を対象)の結果をまとめ、言語的妥当性、原版との文化的・意味論的な同等性、言語的な流暢性等について評価を行った。これら結果の一部は、2つの国内学会にて発表した。また、インタビュー調査の結果も踏まえ、内容的妥当性・基準関連妥当性などの妥当性や評価者内・評価者間の信頼性(再現性)などの計量心理学的な検討を中心とした妥当性・信頼性研究のプロトコール作成に、米国NCIの先行研究に準じる形で着手した。対象として、7つのコホート(乳がんコホート、悪性リンパ腫・骨髄腫コホート、前立腺がん・膀胱がんコホート、肺がんコホート、大腸がんコホート、頭頸部・胃・食道コホート、その他のコホート)を設定し、これらを研究の目的に応じて3つのグループに分類した。グループAは特に信頼性データを測定するためのコホートであり、頭頸部がん、食道がん患者、及び、肺コホートの一部の患者を対象とすることとした。グループBは、乳がん、リンパ腫、骨髄腫、前立腺がん、膀胱がん、大腸がんで、4-5回の継続的な来院が予定されている患者からなる。グループCは2時点のみのデータを測定するグループで、乳がん、リンパ腫、骨髄腫、前立腺がん、膀胱がん、大腸がん患者のうち、グループBに適合しない患者、肺コホートの患者のうち一部のグループBに適合しない患者とした。PRO-CTCAEの測定項目に関しては、どのコホートや治療レジメンでも測定するコア項目を必須とし、各コホートと治療レジメンに応じそれ以外の項目を選定することとした。患者からのデータ取得については、一部試行的にタブレットを用いることとした。細部調整と研究実施施設の選定などを行っており、平成25年度から研究を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年は計2回の班会議を実施し、また、メール等にて議論を行った。平成23年度9月に作成したPRO-CTCAE 日本語訳 東北大学/東京大学/JCOG版について、平成23年度から2回に分けて、関西医科大学附属枚方病院において10人の乳がん患者に、東京大学医学部附属病院にて11人のがん患者(肺がん7人、肝臓がん3人、食道がん1人)にインタビュー調査を実施した。これらの結果をまとめ、その一部を2つの国内学会にて発表した。しかしながら、インタビューの結果のまとめの際に外部の研究者に協力を仰いだが、そのやりとりに予想以上の時間がかかり、その後の妥当性・信頼性研究の計画書の作成に取りかかるのが遅れてしまった。インタビュー調査に関しては、現在、米国NCI向けの報告書の作成とともに、論文化を急いでいる。また、内容的妥当性・基準関連妥当性などの妥当性や評価者内・評価者間の信頼性(再現性)などの計量心理学的な検討を中心とした妥当性・信頼性研究のプロトコールの作成について、米国NCIの先行研究に準じて着手した。対象集団を目的に応じて複数設定することとし、それに準じる形でPRO-CTCAEの測定項目を選定した。患者からのデータの取得については、一部試行的にタブレットを用いることとした。現在、細部の調整と研究実施施設等の選定などに取り組んでいる。平成25年度から研究開始を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度開始を予定していた妥当性・信頼性研究について、プロトコールを早々に確定し試験実施を急ぐとともに結果を早急にまとめる。新たに薬剤師を分担研究者に加えることで、臨床現場でのデータの収集がより加速できると考えている。NCI研究者との討議を加えて、PRO-CTCAE日本語最終版を完成させる。成果がまとまり次第、国内あるいは国際学会にて発表し、論文投稿を行う。 また、米国NCIと議論のうえ、日本においても患者や医療者が容易に利用可能な携帯情報端末等を利用したプラットフォームを構築する(上記の信頼性・妥当性研究で一部パイロット的に使用を試みる)。携帯情報端末の利用可能性や有用性について、患者や医療者に実際に使用してもらいインタビューを行うなどの調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた通り、研究代表者、研究分担者らによる定期的な打ち合わせの会議開催費と旅費、学会発表のための費用に加えて、プラットフォームの構築(PRO-CTCAE実装用のタブレットPC費用、PRO-CTCAE日本語携帯情報端末版の開発など)に関する費用などに充てる。次年度使用額は、今年度の研究に係る経費を最小限に留めたことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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