われわれはこれまで紙ベースでの進行再発がんに対する経口抗がん薬治療ピーキャップス(患者状態適応型パスシステム)地域連携システムの開発を行って来た。昨年度までに紙ベースではほぼ地域連携パスシステムを完成することが出来た。しかし、作成したパスシステムは非常に複雑であり、実際の臨床例の検証では多くの条件付き指示の利用や複数のパス経路を経過することが分かった。このパスシステムを紙媒体で運用することは臨床現場では困難を伴い、また、データの抽出を行う際も紙媒体では効率が悪く、煩雑である。このパスシステムの運用、解析には電子媒体が適していると考えられた。そのため最終年度は、この地域連携システムの電子媒体への展開、開発を、主に研究協力者の東京大学工学系研究科医療社会システム工学寄付講座において行った。
電子化した経口抗がん薬治療ピーキャップス地域連携システムを用いて、今後は臨床の現場で調査研究を行うことが今後の展開に関する計画である。パスシステムを用いて経口薬抗がん治療薬治療を行うことにより、がん薬物療法治療医、かかりつけ医、かかりつけ調剤薬局、患者本人が情報を共有することが出来、パスシステムに組み込まれた治療計画、条件付き指示を利用することで、がん薬物療法治療医の負担を増やすことなく、患者の経口抗がん治療薬の安全かつ確実な服薬と、合併症に対する支持療法や管理が速やかかつ適切にできることが期待される。また、パスシステムの中のどの臨床経過経路をたどったか解析することにより、より安全性の高い確実な経口抗がん治療薬によるがん治療を行うための注意点が明らかになると期待している。
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