研究課題/領域番号 |
24590597
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
濱田 洋実 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60261799)
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研究分担者 |
小畠 真奈 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20420086)
小倉 剛 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40451702)
安部 加奈子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80588955)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地域産科医療 / 先天性心臓疾患 / 胎児健康状態 |
研究概要 |
地域医療ネットワークにおいて運用可能でかつ臨床的有用性の高い、生体磁気計測を導入した新しい先天性心臓疾患胎児の健康状態評価システムを構築することを目的に、研究を遂行した。 当科での分娩を希望して妊婦健診を受診中の妊娠女性全員に、本研究の目的・方法・意義・考えられる不利益などについて文書および口頭にて十分説明した。その結果、文書で同意の得られた女性を対象として、生体磁気計測装置を用いて胎児生体磁気計測(心拍変動解析および脳磁界計測)を行った。このうち、不整脈胎児と診断されている妊娠女性については、ELISA法を用いて抗SS-A(Ro)抗体価を測定した。同時に分娩監視装置によるNon stress test および超音波診断装置を用いたbiophysical profile評価を行って、これらの比較検討・解析を行った。平成24年度内に出生した児については出生後その健康状態を総合的に評価したうえで、必要に応じて心臓超音波検査および心電解析を施行した。 その結果、地域医療として一次医療機関が先天性心臓疾患胎児を妊娠している可能性の高い女性の抽出を行う際に有効な指標としては、1)心構造異常に関しては、超音波断層法による心臓4腔断面およびThree-vessel view評価、2)不整脈については、超音波断層法による心拍動の一定時間の観察、がそれぞれ考えられた。これらは、従来の地域産科医療において習慣的に行われてきたことが誤りではなかったことを示していると考えられた。ただし、不整脈胎児の抽出における抗SS-A(Ro)抗体価測定の有用性は明らかとはならなかった。また、地域医療ネットワークに心磁計測を組み込むことは有用である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画自体に問題はなく、「研究の目的」の達成度としてはおおむね順調に進展しているが、本研究のすべてのプロトコールを完遂できた症例の数が当初の予定よりも少なく、当初の計画以上とはいえない達成度と考えられる。また、予想していたよりも心臓以外の先天性疾患胎児の数が多く、それらの症例の存在によるバイアスの評価が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在のプロトコールを継続するとともに、胎児心臓形態の超音波診断法をはじめとして、その基準の病医院間での統一化等を目指して、平成24年度の研究成果に基づく研究実施委員会を、茨城県つくば市および県西地区内全病医院とともに早急に立ち上げて、地域医療ネットワークにおける検証を含めて、研究の推進を図る計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の直接経費1,300,000円のうち、57,978円を次年度に使用する予定であるが、これはデータ整理の手法が早期に確立できたため、研究補助者の雇用を中止したことが主な理由である。一方、年度の後半に同意の得られた症例数が多く、それらの症例のデータ収集の一部が次年度にずれることにより、当初予定よりも次年度の研究費が多く必要であることも予想されるため、この57,978円を次年度に使用することで、研究費の有効利用を図る計画である。
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